レンジフードとは、キッチンのガスコンロやIHクッキングヒーターの上に設置する換気扇のような役割を果たす排気設備のことです。
調理の際に発生する煙やにおいなどを吸収することで、キッチン全体のにおいを防ぐことができます。
毎日のように使うという方も多いと思いますが、毎日使っているとその分汚れも付きやすくなりますし、劣化も激しくなります。
しかし、キッチンのコンロやシンクのように直接見るようなものでもないため、その交換時期がわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな料理を作るのに欠かせないレンジフードの交換時期について紹介させていただきます。
また、レンジフードは意外と種類が豊富なため、それぞれの種類の特徴やリフォーム費用などについても紹介いたします。
レンジフードの交換時期
それでは、レンジフードはどのタイミングで交換すべきなのでしょうか。
- レンジフードの耐用年数から交換する
- 煙やにおいをうまく排気しなくなった
- 変な音がしたり止まったりする
- 掃除頻度が多くなった
具体的には、この辺りを交換時期の目安と考えるのがおすすめです。
レンジフードの耐用年数から交換する
様々なものに耐用年数がありますが、一般的なレンジフードの耐用年数は10年程度だと言われています。
もちろん使用状況や使用頻度、メンテナンスの頻度などによって耐用年数は大きく異なるため、一概にいうことはできません。
しかし、通常は購入してから8年程度でモーターの劣化が始まるため、それを機に買い替えるという方も少なくありません。
- 大切に利用している
- ほとんど利用していない
と言うご家庭であれば10年を過ぎても交換する必要がないかもしれませんが、頻繁に使用する場合は10年をめどにリフォームするのがおすすめです。
煙やにおいをうまく排気しなくなった
煙がたくさん出る料理を作っているのに、レンジフードにその煙が吸い込まれずキッチン全体に広がってしまうような場合は、明らかにレンジフードが劣化しているということです。
例えば、掃除をしてきれいにすればある程度は改善されるものもありますが、モーター自体が劣化を始めている場合は交換する必要があります。
そのまま使用を続けるという方もいますが、煙やにおいを吸わないのに使い続けるのは電気代の無駄ですので、早めに交換したほうが良いでしょう。
変な音がしたり止まったりする
レンジフードを使っていると、モーターの音が大きく聞こえてきたり、場合によっては止まってしまったりすることもあります。
モーターが故障している可能性が高いため、そのまま使い続けるとショートをはじめとする危険なトラブルに発展する可能性もあるはずです。
もちろん修理をして今まで通りに使うことも可能かもしれませんが、10年ほどたっているのであればリフォームによる交換も考えてみましょう。
掃除頻度が多くなった
キッチンを毎日掃除するという方は多いですが、レンジフードのお手入れを毎日のようにするという方はほとんどいらっしゃらないはずです。
しかし、長年使っていると汚れが目立つようになったり、内部に汚れが付着しやすくなることで、頻繁に掃除をしなければならなくなることもあります。
どれだけ掃除をしても汚れが取れない、新しい汚れが付着するのが早いというのは、レンジフード自体が劣化している可能性もあるため、交換のタイミングと言えるのかもしれません。
レンジフードの種類
続いて、交換するレンジフードの種類について見ていきましょう。
レンジフードは
- ファン
- フード
- 取りつけタイプ
によって分類することができます。
もちろん製品として売り出されているアイテムから選ぶことになりますが、ファンの種類やフードの種類、それから取り付けタイプを組み合わせてご自宅に取り付けることが可能です。
ファンの種類と特徴
ファンは大きく
- プロペラファン
- シロッコファン
- ターボファン
に分けることができます。
プロペラファンの特徴
プロペラファンは、扇風機の羽のような形状をしており、風量が大きい割に動作の騒音も抑えられ、その上安く導入できるというメリットがあります。
しかし、このファンを利用するには換気扇が外壁に接していなければなりません。
そのため、直接屋外に排気が可能な一戸建ての住宅に適していますが、反対に風の強い高層階などに設置するのはあまりおすすめできません。
シロッコファンの特徴
プロペラファンと比べると排気風量に負けますが、基本的にはどのような環境であっても安定した排気ができるということで、様々な戸建てやマンションで活躍しています。
換気扇が壁側に接していなければならないというような条件もなく、騒音も少なめなため、特にマンションではよく利用されるタイプのファンです。
実際に、キッチンメーカーなどで選択できるレンジフードはシロッコファンのものが多く、現在のレンジフードで使用されるファンの主流です。
ターボファンの特徴
プロペラと比べるとターボファンの方が音が静かで換気量も多いというだけではなく、自分でメンテナンスをするのに適したタイプのファンになります。
こちらもシロッコファンと同様に、キッチン内で場所を選ばずどこにでも設置できるため、使い勝手が良いものだと言えます。
プロペラファンとシロッコファンの中間的な存在のファンですが、これらと比べると若干値が張るため予算を考えてリフォームしてもらいましょう。
それぞれのファンのメリット・デメリット
ファンの種類 | メリット | デメリット |
プロペラファン | ・風量が大きい ・安い |
・高層階には向かない ・静圧が低い |
シロッコファン | ・騒音が少ない ・場所を問わず設置可能 |
・プロペラより割高 ・排気量が少ない |
ターボファン | ・音がしやすい ・掃除しやすい |
・価格が高い |
やはり、現在主流となっているシロッコファンを使用するご家庭が多いです。
しかし、家庭の使用状況や使用場所などによって適したファンが異なるため、まずは専門業者とどのタイプにすべきか話し合ってみるとよいでしょう。
フードの種類と特徴
フードもファン同様、
- ブーツ型
- フラット型
- スリム型
の3種類が代表的なものになります。
ブーツ型特徴
ブーツ型は現在最も普及しているタイプのレンジフードになり、基本的にはどのようなタイプのキッチンにも取り付けることが可能です。
設備自体が大きいため、その中に強い力で煙やにおいを吸引し、外部に排気します。
ブーツ型に利用できるファンは、プロペラファンとシロッコファンになります。
フラット型特徴
天井が低いなど、フードレンジを設置するスペースが限られているキッチンにおすすめなタイプがフラット型です。
フラット型は、浅型、平型とも呼ばれ、狭い場所への設置に適しているのですが、吸い込み口が天井とほぼ平行に設置されるため、音が大きく掃除が大変だというのが難点です。
フラット型のレンジフードには、シロッコファンやターボファンが使われます。
スリム型特徴
スリム型レンジフードの内部はほとんどデコボコがないため、吸い取った油や汚れが付着しにくく、またお手入れも楽なので、現在最も人気のあるタイプと言えます。
見た目もスリムでスタイリッシュな印象を与えるため、キッチンの内装にこだわるという方にもおすすめです。
ただし、利用できるファンはシロッコファンのみとなります。
それぞれのフードのまとめ
フードタイプ | 利用できるファン | 特徴 |
ブーツ型 | ・プロペラファン ・シロッコファン |
・吸引力が強い ・どこにでも取り付け可 |
フラット型 | ・シロッコファン ・ターボファン |
・狭い場所に設置可能 ・音がうるさい ・掃除が大変 |
スリム型 | ・シロッコファン | ・掃除が楽 ・見た目がオシャレ |
現在人気が高いのは、見た目もよくお手入れも簡単なスリム型ですが、利用できるファンがシロッコファンのみとなります。
もちろんブーツ型やフラット型にもメリットはあるため、初めからスリム型と決めつけずにそれぞれの特徴を掴んで比較したうえで選ぶとよいでしょう。
取りつけタイプ
レンジフードには様々なものがありますが、取り付けタイプも以下の3つに分けることができます。
- 天井取りつけタイプ
- 壁面取りつけタイプ
- 横壁面取りつけタイプ
これらは主にキッチンのタイプによって決められます。
取り付けタイプ | キッチンのタイプ |
壁面つけタイプ | I型キッチン、L型キッチン |
横壁面取りつけタイプ | 対面I型キッチン、対面L型キッチン |
天井取りつけタイプ | アイランドキッチン |
レンジフードの機能
レンジフードは、単純に調理の煙やにおいを吸い込むだけではありません。
最近のレンジフードには、様々な機能を持たせたものも多く、うまく使いこなせることができれば調理効率も上がるはずです。
様々な機能がありますが、代表的なものは、
- 照明
- エアカーテン
- 加熱一体型
- 洗浄機能付き
この4つです。
照明の機能
単純に、料理をする手元を照らす明かりのことです。
大きなレンジフードを設置すると、キッチンの照明の陰になってしまいフライパンや鍋の中身などが暗くて見えなくなってしまうこともあります。
キッチンのライトの代わりにレンジフードに照明を取り付けることで、安全に調理できるようになるはずです。
エアカーテンの機能
調理中の煙は通常上に移動していきますが、例えば壁のないアイランド型のキッチンではその煙やにおいが壁に当たらず部屋中に拡散しがちです。
エアカーテンの付いたレンジフードでは、レンジフードの下に空気の壁を作り、調理で発生した煙を周りに逃さず上に引き込むため、結果的に部屋の中が臭くなりません。
加熱一体型の機能
調理が終わったらガスコンロやIHクッキングヒーターの電源は消すのに、フードレンジの電源を消すのを忘れてしまうという方もいらっしゃるはずです。
レンジフードの中には、ガスコンロやIHクッキングヒーターが点火すると自動的に換気を開始し、消火すると自動で換気がストップする機能を持ったものも存在します。
もちろん手動でのオンオフ切り替えも可能ですが、これを利用するにはフードレンジと連動するガスコンロやIHクッキングヒーターが必要です。
洗浄機能付きの機能
レンジフード内のファンをフィルターと一体化させることで、ワンタッチで油汚れなどを自動で綺麗にしてくれるレンジフードもあります。
こびりついた油汚れを落とすのが大変な方や、常にレンジフードを清潔に保ちたいという方におすすめです。
レンジフードを交換する場合の価格相場
それでは最後に、レンジフードをリフォームで交換する際の費用の相場を見てみましょう。
レンジフードのリフォーム費用は、現在利用しているレンジフードの種類や取り付け方、換気扇の種類によって大きく変わってきます。
例えば、リフォーム後も同じファンタイプを選択する場合などは案外安く抑えることができますが、ファンをプロペラファンからターボファンに変えるような場合は割高です。
また、レンジフードのリフォームに伴って設置位置を交換するような場合は、新しい排気ダクトの設置が必要になるケースもあります。
ファンタイプによって電気配線の工事が必要になることもありますし、大掛かりな改良工事が求められることもあるため、そういった付帯工事がリフォーム費用を高くすることになるのです。
ただし、ファンタイプや設置個所などは選ばないという場合は、通常は現在と同じファンタイプや設置位置が選択されるため、安く済ませようと思えば可能です。
レンジフードのリフォーム内容と費用相場
リフォームタイプ | 工事費用 | 部品価格 |
スイッチの取り換え | 1万円程度 | 5000円程度 |
モーターの取り換え | 1万円程度 | 10000円弱 |
本体の交換 | 2万円程度 | 2万~20万以上 |
リフォームにも様々な種類がありますが、レンジフードのリフォームで多いものをまとめてみました。
スイッチの取り換え
レンジフード本体の、スイッチなどがうまく作動しないというケースも珍しくはありません。
スイッチ以外の場所が問題ない場合は、そのスイッチ部分のみを交換することができるタイプのものも存在します。
スイッチを取り換えるだけであれば、2万円もかからずできることが多いです。
モーターの取り換え
モーターの劣化によって変な音が発生したり、不具合により吸引力が弱まったりすることも多いはずです。
レンジフードによっては、本体を全て取り換える必要はなく、問題の元となっているモーター部分のみを交換することも可能です。
モーターは意外と安価で売られているため、こちらも2万円程度でリフォームできることが多いです。
本体の交換
レンジフードを丸々交換する場合は、やはり新しく取り付けるレンジフードのタイプによってリフォームの総額が大きく変わってきます。
工事費用自体は2万円程度ですが、レンジフードにも安いものもあれば値の張るものもあるため、場合によっては数十万円が必要なケースも珍しくはありません。
例えばシンプルなプロペラファンタイプの交換であれば、1万円や2万円で済んでしまうこともありますが、最新の様々な機能の付くレンジフードを選ぶ場合は20万円ほどすることもあります。
また、レンジフードのタイプや設置位置を変える場合は、必要に応じて排気接続工事をはじめとする複数の付帯工事が必要になってきます。
さらに、古いレンジフードの解体費用や廃棄物の処分費用などが追加でかかるケースも多いため、全体を取り換える場合は特にしっかりとリフォーム業者を選ぶようにしましょう。
まとめ
現在利用しているレンジフードの一部を取り換えるだけで、元通りのクオリティになるのであれば、それで対応するのもよいでしょう。
しかし、そのレンジフードが10年以上前に購入したものである場合は、最新のものに取り換えることで電気代が安くなるなどのメリットがつく可能性もあります。
やはり取り換えと比べるとレンジフードを丸々交換する際には多額の費用がかかりますが、その後で光熱費が下がったり調理効率が上がるのであれば、全体のリフォームを考えてみるのも方法の1つです。
しかし、ご覧になった通り、レンジフードと言っても様々なタイプがありますし、交換の状況や設置場所によっては工事費用も高くなることがあります。
まずは現在利用しているレンジフードの状況を確かめてもらうためにも、専門の業者に現場を見てもらうことをおすすめいたします。
複数の業者に相見積もりをしてもらうことによって、レンジフードのリフォームがよりお得なものになるはずです。