マイホームを建設する際には、どうしても家の内部の間取りや設備などに目が行きがちです。

もちろん家族が快適に生活するためには屋内を充実させる必要がありますが、同時にエクステリアの設置についても考えなければなりません。

内装だけをしっかりと作ってエクステリアを作らないというわけにはいきませんし、外構は近所の方々や来客者が真っ先に見る場所になるため、きれいに設置して置くに越したことはありません。

エクステリアを設置する前に、自宅をオープン外構にするのかクローズ外構にするのか決めることになります。

また、最近はオープン外構とクローズ外構の中間に位置するセミオープン外構(セミクローズ外構)の人気も高まってきています。

今回は、そんな外構の中でもオープン外構について紹介していきます。

オープン外構の概要

クローズ外構とは違い開放的なエクステリアとなるオープン外構ですが、具体的にはどのような外構のことを指すのでしょうか。

オープン外構について詳しく見ていきましょう。

オープン外構とは

オープンという言葉が入っているため、エクステリアを全て開放するというイメージがありますが、基本的には道路から庭やエクステリア、家屋を見通すことのできる外構のことを言います。

そのため、例えば隣の家との間にフェンスなどを設けたとしても、道路に対してはオープンな作りになっているためオープン外構に属します。

開放的と聞くと、エクステリアや家屋の全てをさらけ出すという感じもしますが、例えば庭に木を建てて外部から窓の内部が見えにくくしたり、小さな植木を並べて道路との境界部分をはっきりさせたりするエクステリアも多いです。

クローズ外構と比べると、確かにプライバシーの面で若干不安を感じるという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、下記で紹介するようにオープン外構にもたくさんのメリットがあるのです。

オープン外構に適したご家庭

オープン外構は、どのようなご家庭にお勧めできるエクステリアなのでしょうか。

工事費を最小限に抑えたい

内装の工事にも多額の費用がかかりますが、当然エクステリアにこだわる場合も、それなりのコストが必要になってきます。

自宅を購入したけどお金に余裕がないというような場合は、とりあえずはエクステリアを何も設置しないオープン外構にしてしまい、経済的な余裕ができたら少しずつエクステリアをクローズ外構に近づけるという方も少なくありません。

ただし、近年はオープン外構も人気が高まってきているため、オープンのままで何らかのエクステリアを設置するというのも方法の1つです。

オープンな方が安全

人によって考え方は異なりますが、オープン外構の方が空き巣の被害などに遭いにくいと考える方もいらっしゃいます。

例えば家の周囲を塀で囲ってしまうと、不審者が一旦侵入してしまった場合、外部からは塀の中の様子が全くわからなくなってしまいます。

オープン外構にすれば、そもそも不審者が身を隠すような塀がないですので、逆に安心だという考え方もあるのです。

一般的には塀があれば侵入の抑止力になると考える方も多いのですが、エクステリアを開放的にすることで犯罪に遭いにくくなるというのも一理あるといえるでしょう。

オープン外構のメリット

最近人気が高まってきているオープン外構には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

たくさんのメリットが考えられますが、代表的なものを紹介していきます。

外構に圧迫されない

特に敷地面積の狭いご家庭の場合は無理に塀やフェンスなどを設置してしまうと、それらと家屋の間が狭くなってしまい、圧迫される可能性が高いです。

エクステリアにこだわりたいと思っていても、フェンスと建物が狭ければ、簡単なアプローチを設けて終わりになってしまいますので、それであれば最初から塀やフェンスを取り払ったオープン外構でエクステリアを楽しんだ方が良いといえます。

もちろん壁やフェンスがないとエクステリアのほとんどが人目にさらされることになりますが、無理に壁を作って庭がデッドスペースになってしまうよりは良いのではないでしょうか。

開放的な空間を作り出すことによって、思う存分エクステリアを楽しむことができるはずです。

近所の方と仲良くなる

アメリカの一軒家などを映画で見たことがあるという方も多いと思いますが、基本的にはオープン外構を楽しむご家庭が多いです。

ただし、エクステリアには芝生を導入したり小さな草木を植えたりと、それぞれのご家庭が建物のデザインと調和するような植物を植えてオープン外構を満喫しています。

実際に、それらの植物は家の前を通る方々の心を癒しますし、近所の方からも喜ばれます。

そのようなエクステリアがきっかけでご近所づきあいがうまくいったり、逆に近隣トラブルに巻き込まれなかったりといったメリットが生まれる可能性もあります。

光を取り入れやすい

もちろんエクステリアの配置などにもよりますが、クローズ外構にすると建物に日光が当たらなくなってしまうケースも存在します。

塀の裏などは常に日陰になってしまう可能性が高いため、ジメジメして湿気がたまりやすくなります。

同時に、塀を設けることによって風の通り道もふさいでしまうことになるため、湿気はこもるばかりです。

一方で、オープン外構にすれば窓から太陽光や風を取り入れることができるため、さわやかな気持ちで生活を送ることができるでしょう。

防犯性が高い

先ほども少し触れましたが、塀やフェンスがないことによって道路からの死角がなくなるため、不審者が侵入しにくくなります。

見通しの良い構造を作ることによって、犯罪者が塀の裏で窓を割ったり鍵をこじ開けたりといった作業ができなくなります。

もちろん、かといって戸締りしなくてもよいというわけではありませんし、もしもの時のためのことを考えて扉や窓などの防犯を強化する必要も出てきます。

しかし、犯罪者の好む死角を作らないというのは、大きな防犯対策と言えるでしょう。

設置が安い

クローズ外構にした場合は、家の周囲を塀やフェンスで囲って、入り口部分にしっかりとした門を作ることになります。

単純にその設置費用がいらなくなるため、エクステリアの工事代が安くなります。

もちろんフェンスや門にも安く設置できるものがあるため、新築の物件を建てる際についでに取り付けるという方もいらっしゃいます。

しかし、エクステリアを付ける場合とつけない場合の見積もりを見てみると、当然後者の方が圧倒的に安くなるはずです。

オープン外構のデメリット

このようにたくさんのメリットがあるオープン外構ですが、当然デメリットも存在します。

続いて、エクステリアをオープンにするデメリットを紹介します。

プライバシーを保つのが難しい

やはりクローズ外構と比べると、プライバシーが保てないという点が最大のデメリットと言えるのではないでしょうか。

道路から建物を遮る塀やフェンスがないため、その道路を歩いている人から建物が丸見えですし、窓や玄関を開けていると家の中まで見えてしまいます。

常にカーテンを閉めておくのが嫌だという場合は、窓の位置を高めに設定したり、窓の前に目隠しとなるような木を植えたりするなどの対策が必要になってきます。

また、浴室やトイレなどは、なるべく道路からは見えにくい位置に設置することによって、安心して生活を送れるようになります。

誰でも簡単に敷地に入れる

特に道路と私有地との境界がはっきりしていないような場合は、知らず知らずのうちに私有地に足を踏み入れられる可能性があります。

不審者はもちろんですし、近所の子供たちが学校帰りに敷地内に足を踏み入れたり、犬や猫が糞尿をする場所を提供してしまうリスクがあったりと、オープンになっている分、侵入される頻度は高くなるでしょう。

境界部分に花や背の低い木を並べてみたり、道路に近い部分に門柱を設置して防犯カメラを取り付けるなどすれば、意図的な侵入は少なくなるはずです。

ゴミが溜まりやすい

クローズ外構は外部と家の内部との間にしっかりとした塀やフェンスがあるため、基本的には外部のゴミや落ち葉などが家の中に入ってくるようなことは少ないはずです。

しかしオープン外構の場合、様々なごみが建物の壁際に溜まってしまう可能性があります。

ポイ捨てされたたばこの吸い殻やビニール袋、それから秋になると大量の落ち葉が家屋のすぐ近くまで風で飛ばされてくるのです。

もちろんこれは環境の影響も大きいですが、境界部分に花壇を作ったりすることによってゴミの侵入もある程度は防ぐことができるでしょう。

防犯対策をしっかりとる必要がある

不審者が身を潜める場所がないというところから、オープン外構は空き巣などに入られにくいと考える方も多いです。

しかし、自宅の正面は安全であったとしても、いったん裏口に回られてしまえば死角ができてしまう可能性もあるのではないでしょうか。

エクステリアがオープンだから安心だと考えるのではなく、オープン外構だからこそ建物自体のセキュリティーを強化する必要があるのです。

特に、家の中が丸見えだと、人がいるのかいないのかがわかってしまう可能性があるので、照明なども活用して空き巣対策を取りましょう。

セミオープン外構(セミクローズ外構)もおすすめ

オープン外構のメリットとデメリットを見てきましたが、オープン外構とクローズ外構の中間に位置するセミオープン外構もおすすめです。

特に、オープン外構の雰囲気は好きだがプライバシー保護などをしっかりしたいという方には向いています。

セミオープン外構とは?

オープン外構が道路に対して完全に開かれたエクステリアなのに対して、クローズ外構は周囲をシャットアウトしたデザインのエクステリアです。

一方のセミオープン外構とは、一部に塀を設けたりして、オープンな部分とクローズの部分を作るエクステリアのことになります。

完全にオープンにすると、どうしても外部からの視線が気になって生活しにくいというような場合は、一部を壁などで遮ることによってプライバシーを保つことができます。

しかし、完全にクローズというわけではありませんので、オープン外構の解放感も維持することが可能なのです。

中途半端なエクステリアと考える方もいらっしゃいますが、最近はオープン外構と並んで人気の高いタイプのエクステリアです。

オープン外構からセミオープン外構へ

もともとオープン外構だったけど、プライバシーのことも考えてセミオープン外構にリフォームしたい、という方はたくさんいらっしゃいます。

敷地面積いっぱいまで家屋を建てている場合は新たにエクステリアを付けるのが難しいですが、庭にある程度のスペースがあるのであれば、オープン外構からセミオープン外構へのリフォームは可能です。

ただし、オープン外構の時には広いと思っていた土地に塀を取り付けると、いきなり圧迫感を覚えるケースも多いですので注意が必要です。

実際の塀がそこにないと想像しにくいかもしれませんが、取り付けて狭くなったからやっぱり撤去したいと後悔する方もいらっしゃるのは事実です。

そのため、壁の高さや幅などを少しずつ調節しながら、できあがりをイメージつつ計画を練っていく必要があります。

最後に

オープン外構のメリットやデメリットについて紹介してきましたが、ご自宅のエクステリアについて悩んでいらっしゃる方の参考になりましたでしょうか。

紹介したようにメリットはたくさんありますが、デメリットも多いです。

絶対にプライバシーをしっかりと保ちたいという方には向いていない外構ですが、開放的な空間が好きな方にはぴったりのエクステリアといえるでしょう。

予算に限りがあるという方は、まずはオープン外構を設置して、徐々にクローズ外構に近づけていくという方法もおすすめです。