家族が安心して暮らすためには、ご自宅のプライバシーの保護は必要不可欠です。
そのプライバシーをしっかりと守るためには、様々なエクステリアを建物の周囲に配置するのが最も簡単な方法です。
外構にも様々な種類がありますが、通行人などから家の中が見えないように視線を遮るエクステリアはクローズ外構と呼ばれています。
最近は、そのクローズ外構と真逆であるエクステリアで、開放的なオープン外構も高い人気を誇っていますが、
⇒開放的なオープン外構の特徴と気になるメリット・デメリットについて
やはり人の目線を避けるためのクローズ外構が良いという方も少なくありません。
今回は、そんなクローズ外構のメリットやデメリット、設置のポイントなどを紹介していきます。
クローズ外構について
建物に目隠しをするようなエクステリアが特徴のクローズ外構ですが、その定義とはどのようなものなのでしょうか。
まずは、クローズ外構の基本について紹介していきます。
クローズ外構とは?
結論から言うと、このエクステリアを使用しているからこの住宅はクローズ外構だ、というような分類方法はありません。
しかし、基本的には境界線の部分に高い塀などを設けることで外部からの視線を避けられるようになっているエクステリア全般が、クローズ外構と呼ばれています。
視線を100%遮らなければクローズ外構ではないというわけではなく、壁の代わりにフェンスを利用して風を感じられるようなエクステリアも存在します。
全く外から見えない塀を利用して門扉やガレージなどもしっかりと設置しているご家庭もあれば、隙間のあるフェンスを用いて、覗こうと思えばフェンスの中を覗くことができるタイプなど様々です。
一口にクローズ外構と言っても実にたくさんのデザインがあるため、住宅にあったエクステリアを選んでみましょう。
クローズ外構に適したご家庭
それでは、クローズ外構とはどのようなご家庭に適したエクステリアなのでしょうか。
プライバシーを重視する
クローズ外構の最大のメリットとして挙げられるのは、やはりご家族のプライバシーがしっかりと守られるという点ではないでしょうか。
外部から全く見えないようなエクステリアになっている場合は、極端な話、庭に裸で出ても誰にも見られることはありません。
玄関や窓を開けっぱなしにしても視線が気になることがありませんし、庭に洗濯物を干す際にも人目を配慮する必要がないのです。
また、庭で何らかのアクティビティーをするという方は、外部の人間に見られることがないという安心感があるため、それに集中することもできます。
人から見られるのが嫌だという方には、クローズ外構がおすすめです。
境界線がはっきりする
オープン外構の場合は、いまいちご自身の私有地と公道、または隣の方の敷地との境目がはっきりしないというケースもあります。
壁やフェンスがないと間違えて隣の敷地内に足を踏み入れてしまう可能性もありますし、例えば庭に植えてある木の落ち葉などが隣に入り込んでご近所トラブルに発展するケースもあります。
そういった近所とのトラブルを避ける方法の1つとしておすすめなのが、境界線を目に見える形で設置して、どこまでが自分たちのスペースなのかをはっきりさせるというものです。
壁やフェンスなどで建物の周りを囲うことによって、プライバシーが保護されるだけでなく、自分たちだけの空間を再認識することができるようになるのです。
クローズ外構のメリット
オープン外構にもたくさんのメリットがありますが、やはりクローズ外構の方がいいという方も多いです。
それでは、クローズ外構にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
プライバシーの確保
塀やフェンスを付けて敷地内に目隠しをすることによって、家族のプライバシーを確保することができます。
低い壁であっても、ある程度は目線を避けることができますが、背の高い塀を取り付けることによって外から中の様子をほとんど見えなくすることができます。
何においてもまずは家族のプライバシーを守りたいというご家庭には、クローズ外構が適しているといえるでしょう。
しかし、あまりに壁を高くしてしまうと圧迫感がありますし、閉鎖的な家庭だとみなされてしまうこともあるため注意が必要です。
安全性の確保
お子様のいるご家庭では、子供がどのような動きをするのかわからないため、庭で遊んでいるときは常に監視していなければなりません。
オープン外構の場合はエクステリアと公道の間に仕切りがないことが多いため、道路に飛び出してしまって事故に巻き込まれるようなリスクも発生します。
しかしクローズ外構の場合は、敷地外に出るためには門扉を開ける必要があるため、遊びに夢中になって外に飛び出してしまうようなことがなくなるはずです。
お子様だけでなく、ペットを飼っているご家庭は犬を庭に放し飼いにしたりすることもあるでしょう。
門や塀、フェンスのあるクローズ外構であれば、安心して遊ばせることが可能です。
侵入者を未然に防ぐ
クローズ外構の建物に入るためには、基本的には門を通過しなければなりません。
ご家族はもちろん門を通って家に帰るでしょうし、宅配便の配達人や来客者も、当然門を使って敷地内に入ることになります。
侵入者が敷地内に足を踏み入れるためにも門を通ることが多いのですが、中には塀をよじ登って侵入するような者も存在します。
しかし、塀を高く設置することによって侵入しようという気をなくすことができますし、門の周りにカメラを設置しておくことによって門からの侵入も防ぐことができます。
ただし、いったん侵入を許してしまうと、外部からは中の様子がわからないため、空き巣がゆっくりと作業をできるというようなデメリットも考慮しておきましょう。
エクステリアの統一感
塀やフェンスの中は完全にプライベートな空間になりますので、建物や他のエクステリアのデザインや配置を自由に考えることで、個性を出した外構を作り上げることができます。
例え近所に洋風の建物が並んでいたとしても、門から家の中までを全て和風で統一してしまえば、そこは完全に和風の住宅ということになります。
どうせ一戸建てを所有するのであれば、エクステリアにこだわりたいという方も多いのではないでしょうか。
周りの景観に関係なく、そのこだわりを100%反映することができるエクステリアが、クローズ外構になるのです。
クローズ外構のデメリット
クローズ外構のメリットを見る分には、クローズ外構がいかに優れたエクステリアなのかということがわかるのではないかと思います。
しかし、当然デメリットもあるので、デメリットも考慮して設置する必要があります。
外部からの死角ができる
塀やフェンス、門扉をしっかりと設置することによって、住まい全体の防犯性は必ず高まります。
しかし、防犯性が高まったからと言って絶対に空き巣をはじめとする犯罪者が侵入してこないというわけではありません。
確かに不審者の侵入をあきらめさせる壁には高い防犯効果を期待することができますが、いったん侵入されてしまうと外部からの死角が多いため、簡単に家屋に入り込まれてしまうのです。
完全に中を見えなくするブロック塀などを設置するご家庭もありますが、死角をなくすために見通しの良いフェンスの採用を考えてみるのも方法の1つです。
フェンスにすると家族のプライバシーを100%保護することができなくなるというデメリットも生まれますが、空き巣が苦労して乗り越えた後も中の様子が外からわかるため安心です。
設置費用が高い
オープン外構は基本的に塀やフェンスなどを設置しないため、単純にその設置費用がかかりません。
一方で、塀やフェンスなどを設置するクローズ外構は、その分のコストが高くなってしまいます。
もちろん、安価な素材を利用してエクステリア全体の設置を安く済ませることも可能かもしれませんが、やはりある程度の余裕がなければ満足できない外構となってしまう可能性が高いです。
また、お金をかけることによって安全性が確保されますが、予算が少ないと中途半端なエクステリアとなってしまうため、セキュリティー面で不安が残り、クローズ外構としてのメリットを発揮できなくなることもあります。
どうせクローズ外構を取り入れるのであれば、しっかりと予算をかけて納得のいくものを作りたいものです。
圧迫感がある
特に高い壁を設ける場合などは、周りに圧迫感を与えてしまう可能性があります。
また、家の中から外が全く見えないような塀を取り付けたら、家の中にいても何となく圧迫されているような感じになる可能性があります。
もちろん敷地内が広く、境界線に設置した壁までの距離が遠い場合はのびのびと暮らすことができるでしょうが、敷地が狭い場合は無理に壁を取り付けると後悔する可能性もあります。
圧迫感があるだけでなく、風通しが悪くなったり日の光が遮られたりといったデメリットもあるため、クローズ外構を快適に利用するのであれば、ある程度の敷地の確保が必要になってきます。
クローズ外構設置のポイント
クローズ外構を採用する場合は、メリットとデメリットを考慮してどのようなデザインにするか考える必要があります。
最後に、クローズ外構を設置する際のポイントを見ていきましょう。
塀の設置について
自宅をクローズ外構にするのであれば、住宅を囲む塀やフェンスの設置は欠かせません。
塀やフェンスと一緒に門扉も設置することになりますが、それらをどれくらいの高さで取り付けるかを考えるようにしましょう。
塀を高くすることによって侵入者が入りにくいエクステリアにすることができますが、例えば周りの住宅の壁が低ければ一軒だけ浮いてしまうことになり、逆に目立ってしまう可能性もあります。
高ければ侵入されるリスクは減少しますが、その分威圧感を与えたり、その家に住む家族にも圧迫感を与えることにつながりかねないため、高い塀に必ずしもメリットばかりがあるとは言い切れないのです。
最近は、高く設置しても圧迫感などがないフェンスを設置するご家庭も増えているため、うまく活用できれば開放的なクローズ外構を実現することも可能です。
エクステリアに優先順位を付ける
クローズ外構は、オープン外構とは違って個性をそのまま反映させることのできるエクステリアになります。
様々なエクステリアを取り入れて塀やフェンス、アプローチや庭などをデザインするのは楽しいものですが、当然それらを設置するのにはそれなりのコストがかかります。
壁の中にもお金をかけたいという気持ちはわかりますが、そちらにお金をかけすぎて肝心の塀やフェンスに使える予算が少なくなってしまうというケースも珍しくはありません。
どうしても譲れない部分にお金をかけるのもよいのですが、予算が少ない場合は優先順位をつけてうまく外構をデザインしていきましょう。
また、自分でできるところはDIYで設置してしまうというのも、エクステリアを安く手に入れる方法の1つです。
最後に
クローズ外構は、ご家族のプライバシーを守るための優れたエクステリアと言えますし、他にもメリットはたくさんあります。
しかし一方でデメリットも多いですので、一概にクローズ外構がおすすめだと言い切ることはできません。
エクステリアのスタイルはどうしても個人の好みが反映されがちですし、立地や敷地面積などによってそのスタイルを変えていく必要があります。
例えば狭い土地に背の高い塀を作ってしまうと、メリットよりもデメリットの方が大きくなる可能性が高いですし、それであればオープン外構にした方がエクステリアを楽しむことができるはずです。
また、オープン外構と比べると予算も多くかかるため、まずはオープン外構にして徐々にエクステリアを追加していくという方法もおすすめです。