解体工事にも様々な種類のものが存在しますが、中には建物全体を取り壊すのではなく、建物の内部のみをきれいに解体したいという方もいらっしゃいます。
建物を全て壊すための解体工事であれば、何となく手順がわかるという方も多いと思いますが、内部のみの解体はどのように行うのかわからないという方も少なくありません。
実際に、一般的な解体工事と内部解体の工事とでは若干方法が異なりますし、気を付けなければならない点なども変わってきます。
また、内部解体にもいくつかの種類があるため、解体業者に解体を依頼する際にはどのような内部解体をしたいのかということを伝える必要も出てきます。
今回は、内部解体の注意点やコストを安くする方法など、建物の内部を解体する際に利用できる知識をまとめてみました。
内装を解体する際の注意点
まずは、内部解体の注意点から見ていきましょう。
内部解体の種類を把握しよう
一言で内部解体と言っても、大きく3つの解体作業に分けることができます。
- 一般的なスケルトン解体
- 原状回復のための解体
- リフォームのための解体
この3つです。
スケルトン解体とは?
一般的には、柱や壁、床や屋根、そして階段など、その建物を形作る部分を残し、その他の全ての内装をきれいにする解体工事のことをスケルトン解体と呼んでいます。
例えばテナントとして利用していた建物を受け渡す際などには、このスケルトン解体をして欲しいと要求されることも多いです。
原状回復とは?
マンションやアパートを借りたことがある方は、原状回復という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
マンションなどの居住用物件だけではなく、オフィスや店舗などが引っ越しをする際などには、基本的には借りた状態に戻して受け渡す必要があります。
その作業を原状回復といい、そのスペースの使い方次第では原状回復のために大掛かりな内部解体が必要になるケースもあります。
リフォームのための解体とは?
家や店舗などを中古で手に入れた時に、リフォームをするという方も多いと思いますが、その建物の内部全てを壊して新しく造り直すのではなく、一部分のみを解体して、その他はそのままにするという方も多いはずです。
通常の内部解体よりも小規模になることが多いのですが、中古住宅を購入した方の多くはこの部分解体を行うことも多いです。
最初に希望解体箇所を決めるべき
内部解体の目的がどうであれ、スケルトン解体をする以外は内装全てを取り壊してしまうというようなことは少ないはずです。
業者を探す前に
- 具体的にどこをどのように解体するのか
- どことどこを解体しないのか
ということをはっきりとさせておく必要があります。
もちろん最終的には解体業者にすべて依頼することになりますが、仮に内部解体する建物にオーナーがいる場合は、そのオーナーともよく話し合っておかなければなりません。
取り壊してしまった部分は元通りにするのが大変ですので、事前の話し合いで決まったことはきちんと文書に残しておくことをおすすめいたします。
この文書がないために、後々トラブルに巻き込まれたり無駄なお金を支払ったりする羽目になることがあるため、工事に関係する全員が確認したうえできちんと書類を作成しましょう。
内部解体の費用に相場はない
通常の一軒家を解体する場合は、土地面積などによって何となくの相場を割り出すことができます。
⇒解体工事にかかる費用の相場を坪単価で自分で計算する方法まとめ。
しかし、やはりその建物が建てられている条件や建物の構造などによって、費用が大きく変わることも少なくありません。
一方の内部解体では、一軒家だけではなくオフィスビルやマンションの1室、テナントのためのスペースなど、解体対象が多いため、一概に相場を出すのが難しいのです。
一軒家の内部解体であれば何となくの相場が決められていますが、それでも壁の素材や内装で使われている素材、家具、装飾品など、それからオフィスやマンションの場合は何階にあるのか、エレベーターは使えるのかなど、様々な要素で費用が変わってきます。
通常の解体工事のようにスムーズにいかないこともありますので、まずは専門の業者に見積もりを取ってもらうことをおすすめいたします。
内装解体で行うこと
それでは、内部解体はどのような流れで行われるのでしょうか。
続いて、内部解体に必要な日数や、行われる主な作業を紹介させていただきます。
内部解体は短い期間で可能
家屋全体の解体をする場合は、もちろんその建物の大きさにもよりますが、解体工事にある程度の日数が必要になってきます。
しかし内部解体は、それと比べると小規模の解体工事ということになるため、早ければ2,3日で完了してしまうことが多いです。
また、悪天候によって解体作業がストップしてしまうということもないですし、地中埋設物などが出てくるようなトラブルもないため、通常であれば初めに予定された工期通りに工事が行われるはずです。
ただし、その建物の立地によって多少工期が長くなることも考えられますし、内装全てを壊すスケルトン解体の場合は若干時間がかかることも考えられます。
いずれにしても、一戸建ての解体と比べるとスムーズに解体作業が進められます。
養生と足場を設置する
内部解体は一般の解体作業と比べると簡単だというイメージがありますが、それでも事故が発生する可能性もありますし、解体工事をする以上は騒音や粉塵が発生することになります。
そのため、通常の解体工事と同様に養生をしっかりと設置し、スムーズに工事ができるように足場を作ります。
解体現場によっては、エレベーターや廊下などの共有スペースを通らなければならないケースも多いと思いますが、例えば廃棄物の搬出中に汚してしまったりする可能性もあるため、基本的には工事で利用する可能性がある場所には養生を設置します。
内装材の解体
解体する場所と解体しない場所をはっきりと区別したうえで、解体箇所の内装材をすべて撤去していきます。
例えば壁紙を剥がす際にも大量の粉塵が発生する可能性がありますが、通常の解体工事のように散水をしながら行うのが難しいケースも少なくありません。
そのため、粉塵被害をなるべく減らすために慎重にはがしたり、撤去した廃材をきちんとした分別方法で分けていきます。
なお、解体しない部分がある場合は、解体作業中は保護シートなどでしっかりと覆って汚れないようにするのが普通です。
床材の撤去
元々の床材以外を導入していた場合は、床に使われている建材を剥がすことも多いです。
一般的には、元々の床に接着剤や糊などを使用して床になる素材がくっつけられているのですが、その素材によって利用する接着剤などが変わってくるため、それぞれに合った撤去方法で少しずつ剥がしていきます。
剥がし方を間違えると、下地が汚れてしまったり傷ついたりする原因になるため、まずは慎重に床素材を取り除き、最後に床をきれいにしていきます。
接着剤などの残りが完全に除去されていないとデコボコになってしまうので、それを平らにしたり、撤去作業によってひび割れなどが生じた場合はそれを補修してきれいにします。
解体工事後にすべきこと
それでは、内部解体が無事に終わった後に何をすべきなのでしょうか。
ここからは、解体工事後に行うことを紹介していきます。
内部清掃
工事の種類にもよりますが、内部解体をした後はチリやホコリだけではなく、ちょっとしたゴミなども現場に残っています。
内部解体をした後にすぐに誰かが使う可能性がある場合や、賃貸として借りておりオーナーにそのスペースを返す場合などは、なるべくきれいな状態にするのが望ましいです。
しかし、解体業者の中には、解体作業は行うが清掃までは行わないというようなところも存在します。
小さなスペースであれば個人で掃除するのも可能かもしれませんが、やはり掃除までまとめて行ってくれる業者を探したほうが良いでしょう。
廃棄物の処理
解体工事では必ず産業廃棄物が発生しますが、内装の解体でも様々な種類の廃材が廃棄物として残ります。
悪徳業者の中には、この廃棄物を不法投棄したり、解体現場に隠したりするようなところも存在するため、最初に業者を選ぶ段階で廃棄物の処理をきちんと行っているところを選択する必要があります。
解体業者を直接探す際にはかなり時間のかかる作業かもしれませんが、必ず複数の業者に見積もりを取って信頼できる業者を見つけるようにしましょう。
リフォームをする場合
建物のオーナーが内部解体をする場合は、次の顧客が簡単に見つかるように、解体後にリフォームをすることも少なくありません。
例えば工務店などに内部解体をお願いした場合には、そのままリフォームを請け負ってくれる可能性も高いですが、解体業者に直接依頼した場合は、他にリフォーム業者に依頼が必要になってきます。
賃貸条件によっては、そのスペースの借主がリフォーム作業まで請け負わなければならない場合もあるため、そのあたりの条件などを解体工事前にオーナーと話し合っておくようにしましょう。
内装解体費を安くするために
全てを解体する解体工事と比べると、内部解体は安価で行えるという印象があります。
しかし、少しでも経費を抑えるためには、やはり低コストで行いたいと考える方がほとんどです。
見積もりは早めに行う
内部解体に限らず、解体工事などの依頼をする際には、できるだけ早い段階で業者を探して相談しておくことをおすすめいたします。
例えば今週中に解体したいと思っていたとしても、その時利用できる業者が安心できる業者かどうかを判断する時間がありませんし、結果的に悪徳業者を選んでしまう可能性があります。
逆に、2か月後に解体するということが決まっているのであれば、その2か月前の段階からゆっくりと解体業者を選ぶことによって、最も良いと感じる業者に工事を依頼することが可能になります。
いくら簡単にできる内部解体とは言え、遅くとも工事の1か月前くらいまでには業者に現場見積もりをしてもらうようにするとよいでしょう。
残置物を減らす
解体工事の費用を抑える基本的なことになりますが、工事をする前には残置物を自分たちで処分してしまうことで工事費用が安くなります。
工事で発生する廃棄物は全て産業廃棄物となるため、処分費用が通常のゴミや粗大ごみなどに比べて高額になりがちです。
例えば大きな家具はリサイクルショップに、電化製品はオークションサイトに、小物は一般ごみで処分という感じで自分たちで残置物を減らすことができれば、解体工事にその処分費用が含まれないため、結果的に工事費用を安くすることができます。
また、工事前に不用品解体業者に全て持って行ってもらうこともできますので、その際の費用などを確認してお得な方を選ぶというのも方法の1つです。
最後に
内部解体も解体工事の一種になりますので、基本的な解体工事の流れが大きく変わるということはありません。
しかし、単純に一軒家をすべて解体する工事と比べると、内部解体にはいくつかの種類があるため、まずは対象となる建物をどのように解体するのかをはっきりとさせておく必要があります。
また、その建物のオーナーなのか、スペースを借りていて明け渡す際の解体工事なのか、といった立場の違いによっても気を付けるべき点が変わってきます。
どのような解体作業であっても、まずはその対象となる解体スペースの関係者が集まって、どのような工事にするかを事前に決めておかなければなりません。
それを怠ると後々大きなトラブルになる可能性もあるため、解体業者にお願いする前に解体方法などを決めておきましょう。