何らかの原因で大切な自宅から火が出てしまい、家屋が焼けてしまうという経験をしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

火災で命を落とす方もいらっしゃいますし、火傷をはじめとする大怪我をする方もいらっしゃいます。

そして、仮に人命が無事であったとしても、住むための家が台無しになってしまうということがあるかもしれません。

もちろん人の命を最優先で考えるべきですが、例えご家族が全員元気だったとしても、今日から住む家がなくなってしまうというのはショックです。

しかし、火災で焼けてしまった建物は、そこに住む家族だけではなく、周りに住む方をはじめとする多くの方の迷惑になる可能性があります。

そのため、火災に遭った家はできるだけ早くきれいにする必要があるのです。

今回は、そんな火災と解体工事について紹介していきます。

火災の際にすべきこと

ご自身の住む家が火事で燃えてしまったら、パニックになって何をすれば良いのかわからないという方も少なくありません。

まずは、火災の際にした方が良いことをまとめていきます。

罹災(りさい)証明書を発行してもらう

最初にすべきことは、やはり罹災証明書の取得になるのではないでしょうか。

火災保険に加入している方の中には、最初に保険会社に連絡をするという方もいらっしゃるかもしれませんが、保険を申請する際にはどちらにしても罹災証明書が必要になってきます。

保険金を受け取る際や融資を受ける際などに使う大切な書類になりますので、火災にあったら早い段階で発行してもらうようにすることをおすすめいたします。

罹災証明書は、消防機関がその家で火災が発生したということを確認したら発行してもらえるため、例え小さなボヤで自分で消火することができたとしても、火事が発生したら消防署に連絡を入れる必要があります。

焼失した家屋のチェック

火事が発生したら、通常は最寄りの消防署から消防車が出動して消火活動を行うことになります。

消防隊員がきちんと火を消したということをチェックしたら消火活動は完了ということになるため、その後に火が消えた家屋を確認するようにしましょう。

例えば全焼していなかった場合は、たくさんの家財が自宅に残されていると思いますが、それらは無防備な状態でさらされることになります。

住む家を失っただけでも大きな損害になりますので、残された家財の中で使えるものは基本的にすべて回収しておくようにしましょう。

保険会社に相談する

火災保険に加入している方は保険を利用することができますが、罹災証明書が必要になるので最初に最寄の消防機関で取得しておくようにしましょう。

保険会社は火災現場を確認して、被害の規模によって保険金を決めることになります。

中には、みっともないからすぐに解体工事をしてしまうという方もいらっしゃいますが、保険がおりる前に解体してしまうとその算定ができないため、場合によっては保険がおりないケースもあります

解体工事は後からでも可能ですので、まずは保険会社に連絡を入れることをおすすめいたします。

火災保険会社は、火災に遭った家族が今後どうすればよいかを最もよく把握している機関の1つになりますので、いざ火事になったときには非常に頼りになる存在です。

焼け跡の撤去

保険会社との話が終わったら、家屋を解体していきます。

解体工事自体は、基本的には一般の住宅を解体するのと同じ解体業者に依頼をすることになります。

1つ気を付けなければならないのは、焼けてしまった建物および残置物の処分を解体業者にまとめてお願いすると、高額な費用がかかってしまうことが多いという点です。

火災ゴミは産業廃棄物になりますし、普通は解体後の廃材をリサイクルに回したりすることができるのですが、炭になってしまったものは処分するしかないため、処分費用が普通よりも高くなるのです。

火災ゴミに関しては、減免制度などを設けている自治体もあるため、保険会社や自治体に相談してなるべく安く済む方法を見つけていきましょう。

近隣の住宅にも被害が出た場合

ご自身のご自宅が発生源となって周りの家屋も火災に巻き込んでしまった場合は、どのように対処すべきなのでしょうか。

法的には賠償責任がないとみなされることも多いですが、さすがに迷惑をかけてそのままほったらかしにするわけにはいきません。

挨拶回りは必ずするべき

例えば火災保険に加入しているのであれば、近隣の住宅で被害を与えたところに対して保証をするという類焼損害補償というものが存在します。

そのため、家をリフォームする際に発生する費用などの心配をする必要はないのですが、迷惑をかけたという事実は変わりません。

火災後すぐに挨拶に行くのは難しいかもしれませんが、落ち着いたら家主が直接お詫びの挨拶回りをすることをおすすめいたします。

もちろんその際に迷惑料などのお金を支払う必要はありませんが、一般的には菓子折りなどを持参して回る方が多いようです。

場合によっては責任を問われる

誰にも予想できないところで家に火がついてしまい、それが大火事の元となった場合は、基本的には家主が責任に問われることはありません。

しかし、普通に考えれば火災が発生するに決まっていると考えられる行動が原因で火事になってしまった場合には、重過失ということで責任に問われることが多いです。

例えば、布団などに火が燃え移る可能性があるにもかかわらず寝たばこをした場合や、放置したら大きな火災につながるとわかっているのにコンロに火をつけたままの状態にしておくケースなどは、重過失として取り扱われることも少なくありません。

また当然のことですが、火災保険を目的に家主が自ら住宅に火をつける偽装放火は立派な犯罪になりますので絶対にすべき行為ではありません。

火災の際の解体工事を安くするために

家族は火災によって、精神的だけではなく経済的にも大きな被害を受けることになります。

火災後の解体工事は必ずしなければならないことですが、やはり少しでも安く済ませたいと考える方が多いはずです。

それでは、火災の建物の解体工事を安くする方法はあるのでしょうか。

火災物件の解体工事は高くつく

普通の住宅を解体する場合には、様々な種類の廃材が出ることになりますが、通常はそれらを分別して処分場に運んでいきます。

もちろんそのまま処分される廃材もありますが、リサイクルに回すことのできる廃材も多いため、その分処分費用が安くなります。

しかし、火事で燃えてしまった木材をはじめとする建材は炭になってしまっているため、リサイクルに回すことはできず処分するしかありません。

さらに、炭になっている建材とそうでない建材をしっかりと分別しなければならなかったり、燃えた木材についている釘やねじなどの金属を抜かなければならなかったりと、通常の解体よりも手間がかかることが多いです。

そういった事情により、火災住宅の解体工事は通常よりも高くなってしまうことがあります。

しかし、自治体や保険会社に相談することで解体費用を安くする方法もあるため、まずはそれらの機関に相談してみることをおすすめいたします。

自治体へ相談

自治体によっては、火災の建物を解体する際に発生した廃棄物の処分手数料を安くしてくれるところも多いです。

処分費用の一部を免除されたり、中には全額免除してくれるようなところもありますので、解体をする前に必ず相談するようにしましょう。

ただし中にはルールの厳しい自治体もあり、処分方法がかなり細かいケースもあるため、分別などの手間がかかって逆に解体費用が高くなってしまうこともあります。

解体費用が高くなっても自治体の方法を採用して処分費用を免除してもらうのが得なのか、免除するよりも素早く解体してもらった方が得なのかを見極める必要があります。

保険会社へ相談

火災保険会社や、かけている保険の種類にもよりますが、中には火災住宅の解体費用を補償されるケースもあります。

もちろん全額負担というケースは珍しいかもしれませんが、少しでも解体費用を安くできるのであれば相談しない手はありません。

保険会社に聞く前に解体工事を行ってしまうと保険がおりないことも多いですので、まずは問い合わせしてみるようにしましょう。

火事で焼けた家屋の解体工事の流れ

消火活動がよほど遅くない限り、家屋が全焼してしまうのは珍しいです。

しかし、仮に半焼であったとしても家中に煙が回ってしまったり水浸しになってしまったりするため、やはりすべて解体するというケースが多いようです。

それでは、火災の建物はどのように解体していくのでしょうか。

1.養生シート・足場の設置

基本的には普通の解体工事と変わらないので、まずは足場を設置し養生シートを利用して建物を囲むことになります。

もちろん解体工事の騒音や粉塵などを防ぐという目的もあるのですが、火災でボロボロになった家屋の破片が外に散らばらないようにするという目的もあります。

2.建物内部の解体・撤去

通常は、建物を解体する前に手作業で内部の様々なものを取り除いていくことになります。

ガラスや畳、プラスチックなどなど、建材を分別する必要があるのですが、火災に遭った住宅には燃えたり焦げたり、または水をかぶったゴミなどもたくさんあります。

通常の廃棄物はリサイクルに回せるものも多いのですが、これらは基本的には処分する必要があるため、普通よりも処分費用が高くなります

3.建物本体の解体と基礎の撤去

建物の内部をきれいにしたら、重機を利用するなどして建物自体を取り壊していきます。

上物がきれいになったら、その下にある基礎を取り壊してきれいにし、最後に整地という流れになります。

最後に

まさか自分の家が火事で燃えることなどないと考えている方がほとんどだと思いますが、年間で3万件以上の火災が発生しているため、自分が絶対に巻き込まれないと安心することはできません。

火災に遭った建物は解体しなければなりませんが、その前に消防署で罹災証明書を発行してもらったり、保険会社と相談したりといった手続きをする必要があります。

普段普通に暮らしている家が燃えてしまうとパニックになる方も多いですが、まずはしなければならないことをまとめて、1つずつこなしていくことをおすすめいたします。

火事で燃えてしまった建物の解体工事は通常の解体工事よりも料金が高くなりがちですが、自治体に相談したり保険会社に相談したりすることで、安くする方法が見つかるかもしれません。

使える機関はフル活用して、少しでも火災による被害を減らしていきましょう。