家屋の解体工事をする際には、基本的にはその建物内の不用品を全て処分しておく必要があります。
解体業者が解体前に不用品を回収してくれることもありますが、解体工事費用が割高になることが多いため、通常は他の方法を利用して不用品を処分していきます。
不用品の処分方法はいくつかありますが、今回はその中でも不用品回収業者に回収してもらう際のメリットやデメリットなどをまとめてみました。
また、自分で処分することを考えると、不用品回収業者を利用した場合は処分料金が高くなってしまいます。
業者の料金設定などについても記載しているため、解体工事前に不用品を回収する方の参考になればと思います。
解体業者の不用品回収について
解体作業をお願いする業者に、まとめて不用品を処分してもらおうと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
解体費用が割高になりがちですが、複数の業者とやり取りをする必要がなくなるため作業がスムーズに進みやすいです。
しかし、解体業者の中にも不用品を回収できない業者があるため注意が必要です。
一般廃棄物収集運搬業許可が必要
解体作業をする業者の多くは、産業廃棄物収集運搬業許可を取得しているところが多いですが、廃棄物の収集運搬業許可には他にも一般廃棄物収取運搬業許可というものがあり、この両者は全く別物になります。
解体工事などで排出される廃材が産業廃棄物と呼ばれるものですが、家具や電化製品などの家財は一般廃棄物に分類されます。
産業廃棄物収集運搬業許可の資格を持っている解体業者は、解体工事の廃材を処分する資格がありますが、同時に一般廃棄物収集運搬業許可がなければ不用品回収ができないということになるのです。
解体業者の中には一般廃棄物収集運搬業許可を持っていないところも多いですが、その場合は許可を持っている業者に委託して一般廃棄物を回収してもらうことができます。
委託するわけですから、解体業者が一社のみですべて処理することを考えると割高になりがちですが、法的には安心して任せることができます。
許可を持たない解体業者の不用品回収
一般廃棄物収集運搬業許可を持っていない解体業者の中には、家具などの不用品を一緒に回収するサービスを提供しているところも存在します。
例えば木製のタンスなどであれば、家屋を壊した際に排出される木材と混ぜて産業廃棄物として処分しても一般的にはバレるようなことがありません。
他にも、様々な一般廃棄物が解体工事で出た産業廃棄物に混ぜられて処分されることがありますが、細かく見ると法律違反になるため気を付ける必要があります。
なお、業者の中には不用品を回収してそのまま不法投棄をするような悪質なところもあるため、最初の業者選びできちんとしたところを見つけるようにしましょう。
もしくは解体業者とは別に、不用品の処分に不用品回収業者を利用するというのも方法の1つです。
不用品回収業者利用のメリット
不用品回収業者は、都心や地方のものを含めると全国に数千社存在すると言われているため、それだけ需要が高いということがわかります。
実際に、粗大ゴミなどに出すよりも不用品回収業者を利用したほうがメリットが大きいと考える方も多いです。
それでは、不用品回収業者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
時間を自由に設定できる
大きなメリットの1つとして挙げられるのは、やはり依頼人の都合のよい時間に合わせて回収しに来てくれるというものになるのではないでしょうか。
粗大ゴミを利用する場合は、自治体のルールに従って決められた時間に不用品を捨てに行く必要があります。
解体工事の日程が迫っている場合には、次の回収日を待つというような悠長なことはできませんし、粗大ごみ回収の日に都合が悪いという方もいらっしゃるはずです。
その点、不用品回収業者を利用すれば、早ければ即日で対応してくれますし、土日や夜間などに対応している業者も多いため、便利なサービスといえるでしょう。
自宅まで回収に来てくれる
自治体の粗大ゴミで処分できる小さな粗大ゴミも多いと思いますが、量や大きさによっては作業が大変になることもあります。
解体工事の前に不用品を処分する場合は、大型の家具を大量に捨てなければならないというケースも多いのではないでしょうか。
粗大ゴミでは指定された場所に処分したいものを運ぶ必要があるため、大型家具がたくさんある場合はそれを運び出すだけでも大変な労力が必要になってきます。
また、大きなタンスやクローゼットの中には、一度部屋の中で分解してからしか運ぶことのできないようなものもあるかもしれません。
そんなときには、不用品回収業者に自宅まで取りに来てもらいましょう。
不要なものを家まで取りに来てくれますので、依頼主が重たい思いをして大きな家具を運んだり、複雑な家具の分解をしたりする必要がありません。
大量の不用品をスムーズに処分したいのであれば、やはり不用品回収業者の利用が便利です。
どんなものでも回収可能
家庭内でごみを捨てる際には、細かく分別をしてそれぞれの回収日に処分する必要があります。
家具や家電を処分する際にも、家電リサイクル法によってリサイクルすることが義務付けられている、エアコンや冷蔵庫、テレビ、洗濯機などの家電を粗大ゴミで回収してもらうことはできません。
これらの電化製品は、購入した店舗に持って行くか、もしくは新しく購入する家電量販店に引き取ってもらう必要があるため、処分が少々面倒なものになります。
同様に、パソコンも粗大ゴミで処分することができないため、なかなか捨てにくいものだといえるでしょう。
しかし、不用品回収業者に回収をお願いすれば、一般のゴミからリサイクルが義務付けられた電化製品まで、すべて一度に回収してくれるため便利です。
不用品の買い取りについて
不用品回収業者の中には、場合によっては処分したいアイテムの買い取りに応じてくれるところもあります。
もちろんボロボロの家具や電化製品は買い取りの対象にはならないことが多いですが、状態のきれいな家具や見た目が新しい電化製品などを買い取ってくれるケースもあるのです。
高額で買い取ってくれることはほとんどないでしょうが、それでも本来はお金を払って回収してもらうアイテムを買い取ってもらえるのはラッキーといえるのではないでしょうか。
実際に、状態の良い家具が多い場合は、回収料金がほとんどかからなかったり、逆に買い取り金額が回収費用を上回ることでお金が手に入ったりする可能性もあります。
もちろん業者によっては全く買い取りに応じていないところもありますので、きれいな家具などを処分したいという場合は、特に不用品回収業者選びに時間をかけましょう。
不用品回収業者利用のデメリット
このように、不用品回収業者にはたくさんのメリットが存在します。
しかし大きなデメリットもあるため、業者を選ぶ際には気を付けなければなりません。
それでは、不用品回収業者を利用するデメリットを見ていきましょう。
値段が高い
粗大ゴミで大型の家具などを処分することを考えると、どうしても不用品回収業者の利用は高額になります。
業者を利用した際の費用は下記で詳しく説明いたしますが、便利な分、値段が高くなることが多いのです。
もちろんメリットで紹介したように、状態の良い家具の買い取りに対応してくれるような業者を利用することができれば、ある程度は費用を抑えることができるかもしれません。
粗大ゴミとは異なり、依頼主は労力を使う必要がありませんし、日時にも融通を聞かせてくれるサービスになりますので、やはり割高になるのは仕方がないといえるのかもしれません。
悪徳不用品回収業者がいる
解体業者の中にも悪徳業者は存在しますが、実は不用品回収業者の中にも悪徳と呼ばれる業者がたくさん存在します。
すべて回収し終わってから高額な料金を請求するような業者もいますし、買い取り可能だといっているアイテムに対して処分料金を請求される、または安く回収した家具などを不法投棄するといった業者もあります。
もちろん不用品回収業者の多くはまともな仕事をしていますが、一部の業者が悪質なサービスをするため、その業者を選ばないように注意する必要があります。
例えば、回収が完全無料などと謳っている業者は、後々高額な回収費用を吹っかけてくる可能性があるため、できるだけ利用は控えたほうが良いでしょう。
また、基本的には回収作業に入る前に必ず見積もりを取ってもらい、その料金に納得してから回収をしてもらうべきです。
業者の中には、見積もりも取らずにいきなり作業に入ろうとするようなところもあるため、そのような業者の利用もなるべく避けたほうが良いと言えます。
不用品回収の価格
処分したい不用品の数や大きさなどによって、回収業者に支払う料金は大きく変わってきます。
いまいち曖昧な部分も多いのではないかと思いますが、一体不用品回収の価格はどのように決められているのでしょうか。
代表的な回収料金
全国に数千社もある不用品回収業者になりますので、その料金設定はそれぞれ異なります。
地域や運搬の距離などによっても変わってくるため、一概に相場の料金をお伝えするのは難しいです。
しかし、基本的には品目ごとに料金が設定してあり、テレビはいくら、タンスはいくら、というようにすべての内訳がはっきりとしている場合が多いです。
または、品目ごとの料金が若干安く設定してある代わりに、基本料金という名前の回収料金が決められているようなケースもあります。
そして、最近増えてきているのが定額のパック料金というものになり、これを利用すればトラック1台分などに収まるだけの不用品を回収してもらえます。
解体工事前はパック料金がお得?
解体工事をする家屋の中に大量の家財が残されているような場合は、1つ1つのアイテムに対して費用を払うよりも、トラック1台分のパック料金を利用したほうがお得になるケースが多いです。
もちろん、回収してもらうものが少なく、簡単な電化製品のみだというような場合であれば、品目ごとに計算してもらった方が安くつくかもしれません。
しかし、大きな家具や電化製品から細々した日用品までまとめて持って行ってもらうのであればパック料金の方が安上がりです。
トラック1台といっても、小さな軽トラを利用する場合もあれば、2トントラックのような大きなものを利用する場合もあります。
当然容量が全然異なりますので、トラックが大きくなればなるほど回収費用も高額になりますが、それでも品目ごとで計算してもらうよりは安くなることが多いですし、時間もかからないためおすすめです。
利用前には料金を確認
不用品回収業者にいらない物を全て運んでもらった後に、請求を見てびっくりするというようなことにならないためにも、事前に回収料金を確認しておく必要があります。
しっかりとしたホームページにきちんと料金が掲載してあるような業者もありますが、その料金にプラスで追加料金がかかる可能性もあります。
また、料金がかかれていない業者の方が多いですので、相場を認識しにくいというところもあるのではないでしょうか。
相場を確認するには複数の業者に相見積もりを取るのが一番ですが、その際には実際に自宅に来てもらって料金を算出してもらうことをおすすめいたします。
電話で不用品の量や種類を伝えることで簡易見積もりをしてもらえるところも多いですが、量が多い場合は簡易見積もりと実際の価格との差が大きくなりがちですので、実際に回収してもらうものを目で確認してもらった方が確実です。
追加料金の確認
不用品回収業者の中には、作業をした後に追加料金を請求してくるような業者も少なくありません。
例えば、車両を駐車する場所を家屋近くに確保できなかったために、搬入がスムーズにいかず時間がかかった場合などは、追加請求の対象となりやすいです。
もちろん業者にも言い分はあるのでしょうが、こちらとしては最初に見積もりで出してもらった金額でお願いしているわけですから、納得いかないという方も多いはずです。
お互いが嫌な思いをしないためにも、追加料金がかかる可能性があるのかということも事前に確認しておきましょう。
自分で処分すれば安くなる
不用品回収業者にお願いすれば、楽に家財を処分することができます。
しかし、解体工事で大金がかかっていてあまりお金を使いたくないという場合は、ご自身で処分するのも方法の1つです。
時間に余裕を持って処分する
例えば、解体工事が来週からスタートするけど、家財がまだ家の中にごっそりと残っているというような場合は、不用品回収業者を利用せざるを得ません。
逆に、2か月後に解体工事を依頼するからそれまでに家財をきれいに処分するというようなスケジュールなのであれば、自分で処分する時間は十分にあります。
粗大ゴミで処分することもできますし、利用できそうなものであればリサイクルショップに持ち込んだりすることも可能です。
通常は、いきなり解体工事をするのではなく前もって計画を建ててから解体日時を決めることが多いと思いますので、家財を処分する時間を確保できるようなスケジュールを組みましょう。
お金に変えられるものは変える
家屋の中の家財が、すべてボロボロで今にも壊れそうなものである場合は、おとなしく処分という選択肢を取るしかないかもしれません。
しかし、中には状態が良い電化製品や見た目がきれいな家具などが混じっているかもしれません。
そう言ったものは、リサイクルショップで売れるかもしれませんし、インターネットを利用して販売することも可能です。
もちろん十分な時間がなければネットで買い取り客が現れるまで待つというようなことはできませんが、安値で掲載すればすぐに売れてしまう可能性もあります。
不用品を処分する方法をいくつか掲載しているため参考にしてください。
⇒解体工事前に不用品を処分する様々な方法とそれぞれのメリット・デメリット
不用品回収業者の利用が安くなるケースもある
不用品回収業者の中には、買い取りに対応したリサイクルショップを兼ねているようなところも存在します。
そういった業者にお願いすることができれば、自分でリサイクルショップに持ち込んだりする必要なく、自宅で家財を買い取ってもらうことができます。
もちろん大した値段がつかないケースが大半ですが、お金を払って回収してもらうことを考えると、値がつくだけでもありがたい話です。
たくさんのアイテムに対して値がつけば、最初から不用品回収業者に依頼したほうがお得になるという可能性もあるため、不用品の状態なども確認してから依頼するか決めるのもよいでしょう。
最後に
不用品回収業者と聞いただけで、怪しいとイメージされる方もいらっしゃいます。
しかし、実際に複数の業者にコンタクトを取って信頼できそうなところを見つけることができれば、安心して不用品を処分することができるはずです。
特に、解体工事までに時間がないような場合は不用品回収業者を利用せざるを得ないですが、時間がなかったとしてもできるだけ複数の業者に相見積もりを取ってもらい、良さそうな業者にお願いするようにしましょう。
逆に、解体工事までに十分な時間がある場合は、自分でお得に処分することもできますが、それでも不用品回収業者の方が楽だと感じる方は少なくありません。
不用品回収業者のメリットとデメリットを理解したうえで、利用してみるかを考えてみるとよいでしょう。