古くなった空き家の解体や新しい物件を建てるための解体など、目的は様々ですが家屋を解体するつもりだ、という方も多いでしょう。
そんな解体作業の中の基本的な疑問の1つとして挙げられるのが、雨の日の解体になります。
解体作業は室内で行われるリフォームとは異なり、雨が降れば雨に打たれながら、雪が降れば雪の中で行わざるを得ない工程です。
雨だと危険だから当然工事は中止だと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、一方で工期が遅れては困るから当然雨天決行だと考える方もいるでしょう。
この記事ではそんな、雨の日や様々な天候の際の解体工事について紹介させていただきます。
解体工事の流れについて
天気の話の前に、まずは解体作業までの流れを簡単に見ていきましょう。
解体工事はしたいと思って電話して、その日にすぐにやってもらえるようなものではありません。
そのため、今日は天気が良くて解体工事日よりだから早速やってもらおう、というわけにはいかないのです。
①現場調査
まずは、解体業者に現場を見てもらうことになります。
中には、大体の情報を伝えて電話で見積金額を出してくれるところもありますが、やはり実際に見てもらった方が正確な費用を算出しやすいです。
基本的には解体する家の持ち主が立ち合いの上、現場を見てもらった方が良いでしょう。
建物外部だけではなく、できれば建物の内部も見ることができれば、より正確な金額が出るはずです。
②見積書のチェック
見積もりが終わったら、業者の提出する見積書を確認することになります。
なお、見積書を出してもらったからといって「解体工事をその業者にお願いしなければならない」という決まりはありません。
そのため、できるだけ多くの業者に見積もりを取ってもらうことをおすすめいたします。
業者によって見積書の形式は異なるかと思いますが、内容がよくわからない場合は後々トラブルにならないように、事前に確認してすべて書面でまとめておくようにしましょう。
③近隣へのあいさつ
解体工事がスタートしたら、周りの住人には騒音などをはじめ、様々な迷惑をかけることになります。
そのため、通常は作業を開始する前に近隣の住民の方々に解体工事をするという旨を挨拶して回ります。
特に解体後に新しい住居を構えるような場合は、挨拶回りをしなかったことでその場所に住みにくくなるなどの問題に発展したというケースも存在します。
解体業者と一緒に回ってもよいですので、近隣への配慮を忘れないようにしましょう。
④配線、ライフラインの撤去
そして、解体工事の最初の準備として、電気やガス、インターネットなどを撤去し、トイレの汲み取りなどを行います。
例えば、電力会社に電気を停止してもらい、引込線を撤去してもらったり、都市ガスの場合はガスメーターを閉めて撤去してもらう、プロパンガスの場合はボンベを撤去してもらうことになります。
複数の業者とコンタクトを取ることになるため、できれば一度に撤去できるように効率的に進めていきましょう。
解体作業の開始
ここまでして、ようやく解体作業を開始することになります。
電話してすぐに解体工事がスタートできるわけではない、ということがお分かりいただけたのではないかと思います。
そのため、もちろん当日の天候に合わせて解体工事を行うということも、滅多なことがない限り出来かねます。
それでは、天候と解体工事についての紹介をしていきます。
雨の日の解体工事はメリットが大きい
解体工事は、しっかりと計画を立てたうえで実地されるということがお分かりいただけたのではないかと思います。
しかし、作業自体は外で行うことになりますので、晴れの日もあれば雨の日もあるでしょう。
特に、解体工事を予定しているのに雨が降っているということは珍しいことではありません。
基本は雨でも行う
雨だから先延ばしにする、という催し物などは多いですが、解体工事の場合は雨であっても実地されることが多いです。
例えば、外壁塗装などは雨の影響を大きく受けるため、基本的には天候が良くなければ行うことができません。
しかし、解体工事は綺麗な仕上がりを求めるものでもなく、また新しく何かを作ったりする作業もないのです。
もちろんよほどの大雨の際には中止もやむを得ないということがありますが、中止にすることのデメリットも多いため普通に行われることになります。(デメリットについては下記で紹介いたします。)
雨の日の解体工事のメリット
当たり前のことかもしれませんが、まずは工事が予定通りに進むというメリットが挙げられます。
そして、雨の日のメリットとして最初に考えられるのが、雨によって解体工事で必ず発生する粉塵が空気中に舞いにくくなるため、近隣の方に迷惑をかけなくて済むという物です。
逆に、晴れた日の解体作業では、粉塵を減らすなどの目的のために建物を濡らす水まき用のスタッフが必要になってきます。
雨が降れば、そのスタッフが本来の解体作業を行うことができるため、解体自体が早く終わるというメリットも出てきます。
解体工事を中止すると工期が遅れることになる
最大のデメリットとして挙げられるのは、やはり工期が遅れてしまうことになります。
特に、解体作業の後で新築の工事を行う場合は、その後の全てのスケジュールが遅れてしまう可能性もあります。
例えば、解体から新築の建設まで1つの業者に任せているのであれば問題ないですが、別々に依頼している場合は建設業者に連絡を入れて調整してもらったりしなければなりません。
また、場合によっては解体の遅延によって金銭的な面でのデメリットが発生するケースもあるため、大雨でない限りは行った方が良いのです。
雨天時に行う解体工事のデメリット
上述したように、雨の日の解体作業にはメリットがあり、逆に解体しないことによってデメリットが生じます。
しかし、雨の日の解体作業にデメリットがない、というわけではありません。
足場が悪くなり危険が増す
依頼をしている方からすれば関係のない話かもしれませんが、やはり雨の日は足場が滑りやすくなり危険が伴います。
作業中のスタッフが、雨でぬれた足場に滑って高いところから転落してしまう、という可能性も出てくるのです。
どんな場合もですが、人が怪我をしてしまうというのは嫌なものです。
ましてや、今後も自分が住む土地でそのような事故が起こってしまっては嫌な思いをすることになるのではないでしょうか。
また、自分たちだけではなく近隣の住民からの印象が悪くなってしまう可能性もあります。
やはり安全第一
雨の日の解体作業は、様々な点で理にかなっておりメリットも大きいです。
しかし、何と言っても人間の安全の確保が一番ですので、あまりに激しい雨が降っていたりして安全が保てない場合は中止もやむを得ません。
そのため、いくら雨でメリットが大きいと言っても、梅雨の時期をはじめとした長期的に雨天の日が続く場合は解体工事が遅れる可能性も高くなります。
予定通りに家を解体したいと思われるのであれば、比較的雨の少ない時期を選ばれることをおすすめいたします。
その他の天候での解体工事
雨の日に関する解体工事については、ご理解いただけたのではないかと思います。
しかし、天候には雨以外にも様々なものがあります。
それでは、他の天候の日には解体作業は行われるのでしょうか?
雪の日の解体作業
多少の雪であれば、雨と同様に予定通り工事が行われることが多いです。
しかし、北海道をはじめとする雪の多い場所では、季節によっては大雪が降り積もってしまうことも少なくありません。
雪が降り積もってしまうと、解体のための重機を運ぶのも一苦労ですし、解体作業の前に雪かきが必要になってしまうこともあります。
そうなると、当然晴れの日が続く時期の解体作業と比べると時間も労力も日数も多くかかってしまうことになります。
業者によっては、後期の遅延によって追加の費用を請求してくるところもありますし、それは珍しいことではありません。
そのため、双方のためにも雪が積もりやすい時期の解体作業はおすすめいたしません。
強風の日の解体作業
様々な天候の中で最も解体作業が中止になりがちなのが、風の強い日です。
強い風の中で解体作業を行うと、何かの拍子で建物の一部が飛ばされて周りの建物を傷つけたり、人に怪我を負わせたりしてしまう可能性が出てくるからです。
いきなり強風が吹いてしまう分には致し方のないこともありますが、台風の多い時期は予め強風の多い日が続く可能性があるということもわかっているのではないでしょうか。
そのため、強風が続く時期にもできるだけ解体作業は避けたほうが無難です。
トラブルを避けるために
やむを得ない事情で、雪が多い時期や台風がやってくる時期に解体作業をしなければならない、という方もいらっしゃるかもしれません。
そういった場合は、事前に雪が積もったらどうするのか、強風が続いて工期が遅延した場合はどうなるのか、ということも確認しておくことをおすすめいたします。
もちろん、そのような時期に工事をお願いするわけですから、ある程度の遅延や追加料金の発生は覚悟しているのかもしれません。
しかし前もってどれだけ遅延したらいくらくらいになるのか、ということが何となくわかっていれば安心です。
後々のトラブルを防止するためにも嫌な思いをしないためにも、天候が不安定な時期の解体作業は事前に話し合いをしっかりとしておくようにしましょう。
天候と解体費用の関係について
晴れ以外の天候の際に解体作業を行った場合は、その費用が気になるという方も多いのではないでしょうか。
最後に、天候と解体費用の関係について紹介させていただきます。
計画通りいけば費用は変わらない
当たり前のことですが、雨で足場が滑りやすかったから追加料金をいただきます、というような業者は基本的にはないはずです。
作業の日数も変わらず、作業にあたるスタッフの数も変わらないのであれば、基本的には最初の見積もりに近い額が請求されることになります。
そのため、天候のトラブルがあったとしても予定通りに解体作業が進んでいるのであれば、追加費用の心配をする必要はないでしょう。
工期が遅れた場合の費用
解体工事をする際には、事前にどれくらいの期間でその工事が終わるのか、という大まかなスケジュールを組むことになります。
業者によって予定の立て方は異なりますが、ガチガチに予定を組んでしまうのではなく、通常は少し余裕を持って工事の日程を組み立てます。
そのため、例え強風で1日や2日中止になってしまったとしても、その最初に決めた日程の間にすべて終わってしまえば追加で費用が発生することはないはずです。
しかし、強風が続いて何日も遅れてしまった場合は、追加費用がかかってしまうリスクがあります。
どの時期に解体工事を行ったとしてもあり得ないことではないため、事前に追加料金について聞いておくとよいでしょう。
大雪による追加費用
先ほども少し言及しましたが、雪国では大雪による追加費用のリスクが発生してしまいます。
雪が積もってしまった場合は、解体作業の前に除雪作業を行わなければなりません。
それだけで作業が大幅に遅れてしまう可能性が高くなりますし、解体作業で必要な重機を現場まで運ぶことができない場合は、手作業での解体となってしまいます。
当たり前ですが、そんな事をしていては解体工事の期間は延びる一方です。
工事が終わってみたら、料金の請求が予定の倍以上になってしまったというケースもあるため、毎年のように雪が積もる地域では、解体工事の時期を考えたほうが良いかもしれません。
最後に
多少の天候の崩れであれば、基本的には解体作業には影響しません。
しかし、強風や大雪は解体の大敵であると同時に、こちらも追加費用を支払わなければならない可能性が出てきます。
第一に、解体作業を行う際にはできるだけ天候によるトラブルが発生しない時期を選ぶということをおすすめいたします。
そして、どうしても天候で問題が発生しそうな時期でなければ作業ができない場合には、事前に工事のスケジュールの確認や追加料金の確認などもしておくとよいです。
天候のせいで嫌な思いをしないためにも、事前にすべてをクリアにしてから解体工事をお願いするようにしましょう。