新築マンションを購入する際にも、実際に購入する前にチェックすべき点はたくさん存在します。
しかし、中古のマンションを買う場合は、それ以上にきちんと確認しておかなければならない点があります。
実際に不動産を購入する前には、新築や中古、またはマンション、一戸建てに限らず、何度も内覧に行くという方も多いのではないでしょうか。
それでは、その内覧では具体的にどのような部分を見るべきなのでしょうか。
見るべき場所がわかっていなければ、何度内覧に行っても納得できませんし、結局失敗してしまう可能性も高いです。
細かなところまでいうと、内覧で見なければならない場所は非常に多いです。
しかし今回は、その中でも中古マンションの内覧で最低限必ず見ておいたほうが良い場所を紹介させていただきます。
中古マンションの内覧で必ず見ておくべきポイント
内覧は、中古のマンションを購入する上で最も重要なステップの1つになります。
実際にこれから住むマンションを見ることになるため、購入後に後悔しないためにも最低限以下のことに注意して目を向けてみましょう。
内覧での注目点は、具体的には
- 建物全体で見ておくべき点
- 室内で見ておくべき点
の2つに分かれますので、それぞれを詳しく紹介していきます。
マンション全体で見ておくべき7つのポイント
例えば一戸建ての内覧であれば、その建物を見るだけで問題ありません。
しかしマンションは共同住宅になるため、部屋だけではなく共有スペースにも注目する必要があります。
最低でも
- 外観の見た目
- エントランス
- エレベーター
- 廊下
- ゴミ置き場
- 駐車場
- 外壁
に目を通しましょう。
外観の見た目
これは簡単にいってしまえば、マンションをパッと見た時の印象です。
やはり新築マンションとは異なるため、古い感じがするというのは仕方のないことかもしれません。
しかし古いと言っても、きちんと管理されているマンションであれば清潔感があるはずですし、嫌な印象はしないはずです。
既に写真で外観は見ているという方も多いと思いますが、写真と実物は全く印象が違うはずですので、実物を見た時の第一印象を大事にするとよいでしょう。
エントランス
マンションのエントランスは、そこに住む住人の全てが出入りする重要なスペースの1つです。
例えば集合ポストもそこにあるはずですし、マンションの管理会社のオフィスが入っていることもあるのではないでしょうか。
土日に内覧に行く場合は管理オフィスは閉まっている可能性もありますが、実際にマンションを管理するスタッフの勤務形態なども見ておくといいでしょう。
また、当たり前のことですが共有スペースは綺麗に保たれているか、ポストの周りは散らかっていないかなども確認しておきましょう。
エレベーター
こちらもエントランス同様、住民のほとんどが利用する共有の設備です。
昼間に内覧に行ったのに薄暗いようなエレベーターの場合は、夜間に利用すると怖いと感じるかもしれません。
また、エレベーター内にゴミなどが落ちていたり、落書きがかかれているようなマンションもあるため、そういったところは管理が行き届いているとは言えません。
もちろんそういったことを気にしないという方もいらっしゃるかもしれませんが、エレベーターは毎日使うものですのできちんと管理されているかも確認しましょう。
廊下
廊下は購入を考えている部屋のあるフロアしか見ることができないかもしれませんが、こちらもエレベーター同様、ちょっと見ただけで管理体制がわかります。
砂埃や土ぼこりがある程度残っているくらいは仕方がないかもしれませんが、大きなゴミが放置されていたりするマンションも存在します。
もちろん、住人がたまたま大掃除をしていてゴミ袋を一時的に室外に置いてあるだけといったことも考えられますが、中には私物を出しっぱなしにしているところもあります。
自分たちに直接関係ないと思われるかもしれませんが、そういった方がご近所さんになるわけですから、全く関係ないとも言いきれません。
なので、廊下はできるだけきれいで開放的に保たれているマンションの方がおすすめです。
多少のゴミはしょうがないにしても毎日汚れているようならあまりおすすめはしません。
ゴミ置き場
意外とみるのを忘れがちなのが、マンションの住民が共同で利用するゴミ捨て場です。
マンションによってゴミ捨てのスタイルは異なるかもしれませんが、一般的にはきちんと分別して捨てられるところが多いです。
タイミングによって汚れ具合などが変わってくるため一概には言えませんが、ゴミ捨て場でそのマンションの住民の質がある程度はわかります。
また、実際に住む際にどこにどのようにゴミを捨てればよいのかもわかるため、内覧時には必ず確認しておくようにしましょう。
駐車場
駐車場は、そのマンションにどのような層の方々が生活をしているのかを把握しやすい場所の1つです。
どのような種類の車が駐車されているのかということで、住人の暮らしの豊かさを把握することができますし、車の汚れ具合などでもある程度の予想がつけられます。
もちろん車だけで判断するのはよくないかもしれませんが、車を駐車する方は同時に空き状況なども確認しておくとよいでしょう。
また、お子様のことも考え、駐車場と併せて駐輪場の雰囲気なども見ておくことをおすすめいたします。
外壁
建てられてから何年も経っているマンションの場合は、当然外壁がある程度汚れていても仕方がないのかもしれません。
しかし、例えば大きなひびが複数入っているような建物の場合は、耐久性に不安が残りますし安心して生活を送ることができません。
また、入居したとたんに壁などを補修するための大掛かりな工事が始まる可能性も考えられます。
もちろんある程度は仕方がないと考えるしかありませんが、あまりにもひびなどがひどい場合はデメリットも考慮する必要があります。
工事が入居後にあるかどうかは確認するようにしましょう。
室内で見ておくべき8つポイント
それでは続いて、室内で最低限確認しておく点を紹介させていただきます。
- 玄関の鍵
- 床や天井、壁
- 水回り
- 部屋からの眺め
- 日当たりや風通し
- ドアや窓
- バルコニー
- 収納
もちろん細かいところまで挙げればきりがないのですが、少なくともこれくらいはしっかりと見て他の建物と比較してみてください。
玄関の鍵
家の鍵が古いタイプのものだと、簡単にピッキングされて空き巣に入られてしまう可能性もあります。
一戸建てと比べると、オートロックをはじめとする建物全体のセキュリティがしっかりとしているマンションは入られにくいと考える方もいるかもしれません。
しかし、オートロックの種類によっては案外簡単に侵入されるため、やはり最終的には自宅の玄関のカギを強化する必要があるので注意しましょう。
旧式の鍵が使われている場合は、ディンプルキーなどのピッキングに強い鍵を取り付けることをおすすめいたします。
床や天井、壁
部屋の数によって時間がかかるかもしれませんが、基本的には全ての部屋の床、天井、壁をきちんと見ておくようにしましょう。
特に
- 床は傾いていないか
- 天井に水漏れの跡はないか
- リフォームをする時のためにどれくらいの厚みがあるのか
- ヒビ割れは発生しているか
- ヒビ割れが発生している場合はどれくらいの大きさなのか
というようなことをチェックしましょう。
更に、壁の厚みが薄いと隣の部屋の物音が聞こえてしまいます。
隣人や上階、下階など、マンションに住む場合は騒音問題のことも考えて、壁や床がしっかりとしているかを確認しておきましょう。
水回り
新築のマンションとは異なり、中古のマンションは過去に誰かが住んでいた物件ですが、人が生活する住居で最も汚れやすいのは水回りです。
具体的には
- お風呂場にカビは発生していないかどうか
- キッチンは清潔に保たれているか
を見る必要があります。
また、見た目の汚れ具合だけではなく、「配管に汚れが溜まっており下水のようなにおいがする」ようなこともあるため、においもチェックしましょう。
例えば購入してから全てリフォームするというのであればあまり関係はないかもしれませんが、リフォームするのであれば水栓の位置などの確認も必要です。
配管などの位置を変えずにリフォームするのと、水回りの位置を丸々取り換えるのとではリフォームにかかる費用が大きく変わってきます。
どうせリフォームするからどうでもよいと考えるのではなく、なるべく水回りの位置関係はそのままの状態でリフォームすることを考えましょう。
お風呂や浴室のリフォームに関しては「お風呂・浴室のリフォームで失敗しないために抑えておくべきポイント」の記事も参考にしてみてください。
部屋からの眺め
写真で部屋からの長めを確認できることもありますが、こちらも写真と実際の見た目とは大きく異なります。
例えば、窓から外を見た時に綺麗な景色が広がっているのと真下が墓地になっているのとでは、感じ方が違うはずです。
1泊や2泊するだけのホテルとは異なり、恐らく今後ずっと住み続けるマンションになるため、意外と部屋からの眺めは重要です。
都心では目の前に建物が建てられているということも多いですが、その建物との距離の差で圧迫感が異なるため、そういったことも確認しておきましょう。
日当たりや風通し
こちらは事前に与えられている情報では確認しようがない項目ですので、実際にその部屋に行ったときに日がどのように当たり風がどう吹くのかを体感しましょう。
もちろん内覧に行く季節や時間帯で日の差し込み具合は大きく異なりますが、方角がわかれば何となく予想することは可能です。
同様に
- 全ての部屋の窓を開けて風がどうやって通過するのか
- 一部の窓を閉めたらどうなるのか
ということをチェックしましょう。
ドアや窓
物件によって異なりますが、内覧の際には家中の全ての窓やドアを開けっぱなしにするという売り手も存在します。
もちろん、そちらの方がスムーズに部屋の中を見てもらえますし、風通しや火の差し込み具合も確認しやすいため、買い手にとってもメリットがあります。
しかし、その窓やドアを開閉してみないと、スムーズに作動するのかどうかがわかりません。
実際に、立て付けの悪い物件はサッシが傾いていてうまく閉まらなかったりすることもあるため、必ずすべての窓やドアの動きを確認することをおすすめいたします。
最初に言って置かないとそれは不具合ではない!という話なる可能性もあります。初期の段階でしっかりと確認するようにしてください。
バルコニー
忘れてはならないのは、部屋の中だけではなくバルコニーのスペースです。
中には洗濯物を十分に干す空間が確保されていないような物件もあるため、実際に外に出て広さを確かめましょう。
既にエアコンが設置されている場合は室外機が置かれていると思いますが、室外機がない場合はそのスペースがあるかどうかも確認しなければなりません。
収納
生活をする上で収納は多いに越したことはありませんが、収納の少ない住宅に住む場合はクローゼットなどを取り付けなければなりません。
例えば全てをリフォームするのであれば収納を気にする必要はないかもしれませんが、リフォームをしない場合は注意が必要です。
収納が足りずクローゼットなどを購入する場合は、その収納家具に大きなスペースを取られるため、結果的に家の中が狭くなってしまいます。
逆に、ウォークインクローゼットをはじめとする大きな収納を持つ部屋は、常に部屋の中をきれいに保つことが可能です。
内覧で最低限確認すべきポイントのまとめ
それぞれの具体的な紹介が長くなってしまったため、簡単にリスト化してみました。
参照していただければと思います。
建物に対する注意点
外観の見た目 | パット見た目の印象 |
---|---|
エントランス | ポストの散らかり具合や汚れ |
エレベーター | 照明や汚れ具合 |
廊下 | ゴミが落ちていないか、私物が散らかっていないか |
ゴミ置き場 | 分別がなされているか、どれくらい汚れているか |
駐車場 | 止まっている車の種類や汚れなどの状態 |
外壁 | ひび割れが生じていないか、生じている場合はどの程度か |
室内に対する注意点
玄関の鍵 | 防犯対策がなされているか |
---|---|
床 | 斜めになっていないか、厚みはどれだけあるか |
天井 | 水漏れの跡、ひび割れなどをチェック |
壁 | 厚みは十分にあるか、ヒビ割れはないか |
水回り | 汚れ、カビ、においのチェック |
眺め | 窓から何が見えるか、障害物との距離 |
日当たり | どの方角からどれくらいの日が差し込むか |
風通し | 窓を開閉して風の通りをチェック |
ドアや窓 | 全てを開け閉めしてスムーズに作動するかチェック |
バルコニー | 生活に必要なスペースが十分にあるか |
収納 | 十分なスペースが確保されているか |
注意すべき点は建物だけではない。その他の3つの注意点
内覧で気を付けるべき点を紹介させていただきましたが、内覧で実際に見るのはマンションそのものや室内だけではありません。
もちろん実際に住む建物を確認するというのは重要ですが、内覧時にはその他にも見ておくべきことがあります。
代表的なものとしては、
- 交通アクセスの状況
- 時間帯ごとの雰囲気
- 将来的な周辺の変化
などが挙げられます。
交通アクセスの状況
中古のマンションを探す際には、駅からの所要時間で絞り込むという方も多いのではないでしょうか。
例えば、「駅から徒歩15分以内であれば問題なく通える」といった具合に考えがちですが、広告などに記載されている所要時間は1分あたり80メートルとなります。
逆に言えば、1.2キロが徒歩15分ということになりますが、実際の駅までの道のりが1.2キロであったとしても、15分で到着できる可能性は低いです。
というのも、その距離換算では信号や踏切などが含まれていませんし、基本的には平たんな道を歩いた場合で計算されているからです。
そのため、駅までの間に大きな通りがあって信号がなかなか変わらない、時間帯によっては開かずの踏切になるような立地に建っている場合は、時間が大幅に異なります。
駅からの正確な所要時間を知りたいのであれば、まずは駅から実際にどれくらいの時間がかかるかを歩いて確かめてみることをおすすめいたします。
欲を言えば、出勤の時間帯にそのマンションから実際に歩いてみることによって、本当の所要時間を調べることができるはずです。
同様に、最寄り駅までバスが出ているかどうか、その間隔や始発、最終の時間帯などもチェックしておくとよいでしょう
時間帯ごとの雰囲気
マンションの中には、昼と夜で全く別の雰囲気を発するような物件も存在します。
また、マンションそのものだけではなく、スーパーなどの生活の施設までの環境、駅から帰宅する際の治安なども、昼と夜で大きく異なる可能性があります。
内覧は基本的には日が昇っている時間帯に行われますので、内覧をするだけでは日中の雰囲気しか確かめることができません。
例えば、駅からそのマンションまで歩くだけであれば内覧の許可を取る必要もありませんし、ご自身で勝手に歩くことは可能です。
夜歩くことによって、日中は明るかった道に街灯がどれだけあって、あれだけ人通りの多かった道がどれくらい静かになるのかも確認できます。
特に帰宅が遅くなることが多いという方や、お子様が成長して徐々に帰りが遅くなることを考えると、時間帯を変えてのチェックは大切なポイントの1つです。
将来的な周辺の変化
先に言ってしまうと、その中古マンションの周りが将来的にどのように変化するのかを見極めるのは不可能です。
例えば、マンションの下の方の階を購入し、将来真ん前に高い建物が建てられた場合、確実に日陰になってしまうため生活環境に大きな影響を与えます。
逆に、高層階を購入するのであれば、正面に高い建物が建ったとしても日当たりは確保できるかもしれません。
マンションの正面にボロボロのアパートなどが建てられている場合、または空き地になっているような場合は、そこに新しく何かができる可能性も高いです。
それだけではなく
- 静かだった周辺に大きな複合施設ができて人通りが多くなってしまう
- コンビニができて夜間の治安が悪くなってしまう
ということも考えられます。
そういったことを予想するのは非常に難しいのですが、最低限、マンション周辺に再開発などの計画が立てられているかどうかくらいは調べておいて損はありません。
あまり大きな開発などは教えてもらうことはできないですが、近くにコンビニができるなどのことはもしかすると不動産会社で教えてくれる可能性があるので聞いてみましょう。
まとめ:チェックしたい部分を事前に決めておこう
新築マンションを購入する際にも内覧は重要ですが、中古マンションを購入するのであれば内覧は欠かせません。
中には、同じ物件を何度も内覧するという方もいらっしゃいますが、買い手がまだ住んでいる場合は手を煩わせることになるため、できれば2,3回にとどめておくのが普通です。
また、何度も同じ物件を見ることによって時間を無駄にすることになるため、最初にどこを見るべきかをはっきりとさせてから内覧に行くことをおすすめいたします。
今回紹介させていただいたのは、内覧で必ず見るべき基本中の基本です。
この他にも、人によってはバスルームにどのような設備がついているのか、またはバリアフリー仕様になっているのかなど、こだわりたい部分は異なります。
購入に当たって複数のマンションの内覧をすることになると思いますが、重要なのは、ご自身が必ずチェックしたい部分を事前に固めて後から比較できるようにしておくことです。
逆に言えば、事前に見るべき点を固められれば効率的に内覧ができるはずですので、物件を探す手間を少しでも省くことができるはずです。