解体工事に取り掛かる際には、事前にやっておかなければならないことがいくつか存在します。
その中でも、ライフラインの撤去は不可欠な行為であり、それをしなかったがために様々なトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。
ライフラインにも様々なものがありますが、この記事では電話線の撤去を中心に紹介させていただきます。
電話線は生活をする上で必要なものの1つになりますが、建物を解体することが決まったら工事前までに撤去を依頼する必要があります。
撤去をし忘れることによって解体工事中の事故に発展することもあるため、きちんとやっておかなければなりません。
ここでは、撤去の方法や撤去のし忘れによって発生するトラブルなどについて紹介していきます。
電話線の撤去方法
電話線を撤去したい場合は、どこにどのような連絡を入れればよいのでしょうか。
まずは、電話線を撤去する方法について見ていきましょう。
電話線の撤去方法はシンプル
電話線が自宅にあるということは、どこかの通信会社と契約を結んでいる、もしくは結んでいたということになります。
そのため、その電話線を撤去してもらうためにはその契約会社に連絡を入れることになります。
ひと昔前であれば、電話と言えばNTTだという方も多かったですが、最近はNTTの他にネットの回線を利用する光電話などのIP電話をはじめ、様々なラインが存在します。
中には、どこの会社と契約をしているのかわからないという方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなときにはまずはNTTに連絡を入れてみましょう。
過去の契約をさかのぼって確かめることができるケースもあるため、それで契約先がわかる可能性もあるのです。
基本的には電話1本かけるだけで撤去の手続きが完了してしまうため、非常にシンプルで簡単に終わります。
しかし、シンプルな手続きはいつでもできるからと言って後回しにしてしまう方も少なくないですので、解体工事が決まったら早い段階で連絡を入れておくようにしましょう。
撤去に必要な情報は4つ
それでは、その電話ではどのようなことを伝えればよいのでしょうか。
もちろん相手側から情報を提示してもらうように様々なことを聞かれると思いますが、一般的にこちらから伝える情報は、
- 回線契約者の名前
- 回線契約者の電話番号
- 撤去する場所の住所
- 撤去したい時期
この辺りになります。
また、電話では初めに解体工事をするための撤去依頼だと伝えておくことで、その後の応対がスムーズにいくはずです。
撤去の費用と掛かる日数は10日以上かかるケースも
結論から言うと、一般的に電話線の撤去にはお金がかからないことが多いため、電話を入れておけば無料で撤去をしてくれる可能性が高いです。
しかし、利用業者によっては撤去費用を取られる可能性がないわけではないため、電話をする際にそのあたりの費用も確認しておきましょう。
また、電話線の撤去は電話をしたその日にすぐにやってもらえるわけではありません。
中には撤去が完了するまでに10日以上かかるようなケースも多いですし、転勤などが多い季節になるとその分撤去依頼も多いため、さらに時間がかかることになります。
解体工事が決まった段階ですぐに連絡を入れるか、ずっと空き家になっていていつかは解体するという建物がある場合は、早い段階で撤去依頼をしておくことをおすすめいたします。
撤去しなかったために発生する事故
電話線を工事前に撤去しなければならない理由は、撤去しないことで工事中に事故が発生する可能性があるからです。
具体的には、
- 感電トラブル
- 通話できないトラブル
- 転倒事故
などがそれに当たります。
感電トラブル
撤去作業を怠ると、工事中に解体業者が電話線を切断してしまうことにより、その電話線で感電してしまうことがあります。
電話線には50ボルト前後の電気が流れているため、直接触れてしまうと大変な事故に発展する可能性もあるのです。
電話線が切断されてしまう理由としては、重機などを利用している最中に電話線に引っ掛けてしまうといったものが多いため、人が直接電話線に触れるというケースは珍しいです。
しかし可能性が全くないというわけではないので、事故を避けるためにも事前連絡は必要になってきます。
通話できないトラブル
電話線を切断してしまうと、当然その電話線を利用していた家庭の固定電話が使えなくなってしまいます。
実際に、電話線を解体工事中に切ってしまい数世帯の電話がしばらく使えなくなったという事故も発生しているため、注意する必要があります。
もちろん、最近はひと昔前とは異なり誰もが携帯電話を利用している時代ですが、それでも固定電話を中心に利用しているという方もいるため、そういった方々に大きな迷惑をかけることになるのです。
転倒事故
電話線は、通常は建物に向かって引かれることになりますが、解体工事によってその建物がなくなってしまうと、それまで引いていた電話線が下に垂れ下がってしまうことになります。
もちろんその距離によって垂れ下がる長さは異なりますが、例えば道路にまで配線が垂れ下がった場合、車や通行人がそこに引っかかってしまうリスクも出てきます。
人がつまづいて転倒する分には大した事故にならないかもしれませんが、車がひっかけてしまうと大事故になる可能性もあります。
この場合は、撤去を怠った施主の責任が問われる可能性もあるため、無駄なトラブルを避けるためにも撤去は必ず行っておきましょう。
工事中に発生しがちな電話線の切断
電話線は様々な方面に張り巡らされていますが、解体工事では
- 架空電話線
- 埋設電話線
の切断トラブルが発生しがちです。
もちろん工事をしている最中で切断してしまうのは業者の確認ミスということになるため、施主には関係のないことかもしれません。
しかし、知識として電話線の切断トラブルを知っておきましょう。
架空ケーブルの切断
架空ケーブルとは、空中に張ったケーブルのことを指し、重機を利用している最中に誤ってその架空電話線をひっかけてしまい、そのまま切断してしまうケースがあります。
解体業者は工事を行う前に周囲を確認するのが当たり前ですので、当然建物の上空の情報を事前に知っておく必要があります。
そして、重機を利用した際に当たりそうな位置に架空ケーブルがある場合は、切断事故が起きないように目立つ目印を付けるなどの対策が取られるはずです。
解体工事中に架空ケーブルがそのままになっていた場合は、業者のスタッフに問題ないのかを確認してみましょう。
そうすることで、無駄な事故を無くすことができるかもしれません。
埋設ケーブルの切断
電話線の切断事故で最も多いのが、地中に埋設された電話線の切断になります。
地域によって異なりますが、中には電話線が地中に埋まっている場所もあり、解体業者がその電話線に気付かずに重機でそのまま穴を掘ってしまうと切断事故に発展してしまいます。
こちらも、事前に電話線などの位置をチェックせずに解体作業を行ってしまった業者の責任ということになりますが、ご自身の建物を解体する過程で周囲の方々に迷惑をかけるのはできるだけ避けたいものです。
例えば電話線が埋設されているということがわかっているのであれば、予めその旨を業者に伝えておくとよいでしょう。
その他に事前に撤去しておきたい3つのライフライン
今回は電話線の撤去を忘れることによるトラブルを紹介してきましたが、もちろんライフラインは電話の他にも複数存在します。
- 電気
- ガス
- 水道
この辺りがメインのライフラインになりますので、最後にこれらの撤去についても簡単に紹介させていただきます。
電気の撤去
電気の撤去とは、要するに電線の撤去のことを指しますが、基本的には解体予定の建物が建っている地域を担当している電力会社に解体工事のための撤去をして欲しいと連絡を入れます。
その際には、
- 契約者の名前
- 連絡先電話番号
- 撤去する場所の住所
- お客様番号またはメーターの番号
- 撤去をしたい時期
これらを伝えるようにしましょう。
電線の撤去にも1週間くらいかかるため、こちらも電話線同様、余裕をもって早めに申し込んでおくことをおすすめいたします。
ガスの撤去
ご家庭でガスを利用している場合は、解体工事に伴ってそのガスも撤去する必要があります。
しかし、ガスは大きくプロパンガスと都市ガスの2つに分類することができ、それぞれの撤去方法が異なります。
プロパンガス
プロパンガスはボンベからガスを供給するタイプのものになりますので、ボンベを見れば設置会社を把握することができます。
ボンベやメーター部分に業者名や電話番号がかかれているはずですので、そこに連絡を入れましょう。
都市ガス
都市ガスを利用している場合は、そのエリアを管轄するガス会社に、解体工事をするので撤去したいという連絡を入れることになります。
その際には電線の撤去同様、
- 契約者の名前
- 連絡先電話番号
- 撤去する場所の住所
- お客様番号またはメーターの番号
- 撤去をしたい時期
を伝えることになります。
電話線や電線の撤去とは異なり、ガスの撤去は数日以内で済むことが多いですが、立ち合いが必要なケースも多いため、予め都合のよい日をいくつか探しておきましょう。
水道の撤去
ライフラインと聞いて、水道をはじめに思い浮かべた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
基本的には解体工事前に全てのライフラインを撤去することになるのですが、水道だけは解体工事で利用するためそのままにしておくのが一般的です。
解体工事では大量の粉塵やホコリが発生するため、それを防ぐために常に散水しながら作業を行う必要があるからです。
もちろん、事前に止めてしまっても業者に別で水を用意してもらうということも可能ですが、その場合は水代が割高になるため、解体費用が高くなってしまいます。
解体工事で利用する水道代は施主が払うか業者が払うかでもめるケースもありますが、仮に施主が支払うことになっても数千円で済むことが多いため、水道だけは残しておいたほうが良いでしょう。
まとめ:ライフラインへの連絡は解体工事前に
生活に必要な電気やガスなどのライフラインは、解体工事をする前に撤去をしておく必要があります。
撤去を忘れてしまうと様々なトラブルが発生する可能性がありますし、場合によっては撤去を怠った施主の責任として、そのトラブルの解決を求められる可能性もあります。
電話線の撤去は、契約している業者に連絡を入れるだけで済むため非常に簡単ですが、逆にいつでもできることだからということで忘れてしまう方も少なくありません。
また、連絡を入れてから撤去までには意外と時間がかかるため、解体工事をするということがわかったら早い段階で契約会社に連絡することをおすすめいたします。