お風呂をリフォームする際には、在来工法とユニットバスという言葉をよく聞くことが多いのではないでしょうか?
同じお風呂であることには変わりないのですが、在来工法のバスルームとユニットバスのバスルームとでは全く勝手が異なります。
もちろんどちらにも良い部分がありますし、逆にデメリットと呼べる部分もありますが、最近はユニットバスの人気が高いです。
そのため、在来工法のバスルームを設置してあるご家庭の中には、リフォームの際にユニットバスに変えるというところも少なくありません。
しかし、もちろん在来工法には在来工法の良さがあるため、人によっては在来工法のほうが良いという方もいます。
この記事では、お風呂のリフォームで最初に決めるべき在来工法とユニットバスの比較や、リフォームの費用について紹介させていただきます。
目次
お風呂の在来工法の特徴とメリット
在来工法のバスルームでは、お風呂の周りにきちんとした防水加工を施したうえで、壁や床をコンクリートなどで固めます。
タイル風呂をはじめ、日本では昔から利用されてきた工法になります。
在来工法のメリットとして
- バスルームの広さや形状が自由に決められる
- 浴槽のタイプや窓、扉のサイズや位置を自由に決められる
- 使用する素材を全て自由に決められる
- 後から再リフォームも可能
といった部分が挙げられます。
バスルームの広さや形状が自由に決められる
1日の疲れを癒すところだから、できるだけ広い浴室にしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
既に形などが決まっているユニットバスとは違い、在来工法では広さを自由に決めることができますし、特殊な形にすることも可能です。
他の家にはないオリジナルのお風呂場を造りたいという方は、在来工法を選ぶようにしましょう。
浴槽のタイプ、窓、扉のサイズや位置を自由に決められる
ユニットバスを利用する場合、そのバスルームに設置できる窓の種類や位置までが全て決められています。
そのため、人によっては窓が小さくてちょっと使いづらい、もう少し大きな扉にしたいというような不満を持つ方もいるようです。
その点、在来工法では好きな位置に窓や扉を設置できますし、バスタブも据え置きタイプから埋め込みタイプまで自由自在です。
在来工法は、家族の状況などに合わせてこだわることができるというのも大きなメリットです。
使用する素材を全て自由に決められる
例えば、純和風の家に住んでいるのであれば、ヒノキ風呂にしたいといったようなこだわりをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ユニットバスの場合は、基本的に選択できる内装材が決められているため、通常は似たような造りになることが多いです。
しかし在来工法であれば、ヒノキからタイル、大理石まで、好みの素材を選んで組み合わせたりすることが可能です。
後から再リフォームも可能
ユニットバスの場合は、後からバスルームの一部分を取り換えたいとなったときでも、リフォームが難しいことが多いです。
また、万が一どこかの機能が故障してしまった場合は、そのメーカーでなければ修理をすることができないことも少なくありません。
その点、在来工法であれば、例えば窓をもう少し大きくするためのリフォーム、バスタブをジャグジーに変えるためのリフォームなど、部分的な改修が可能です。
お風呂の在来工法のデメリット
メリットの多い在来工法ですが、その分デメリットも多いです。
例えば、
- 設置コストが高い
- 工期が長くなりがち
- ユニットバスに比べて防水性に劣る
という点が代表的なデメリットと言えます。
設置コストが高い
ユニットバスは、既に決められた商品を設置するだけですので、思っている以上に安く設置することが可能です。
しかし、在来工法では、完全にオリジナルのバスルームを造ることになるため、材料費も高くなりますし工事に当たるスタッフの数も多くなります。
後述しますが、完全にオリジナルのお風呂場を設置するにはある程度の工期も必要になるため、日当代や技術料が高くつく可能性が高いです。
工期が長くなりがち
在来工法でバスルームを造る場合、一般的にはユニットバスと比べると工期が長くなり、その間は当然お風呂に入ることができません。
早ければ2週間程度で完成することもありますが、お風呂場の大きさや複雑さなどによっては1ヶ月以上かかるケースも珍しくはありません。
バスルームを工事している最中は、家族全員が近場の銭湯でお風呂に入るか、長期化する場合はバスタブやシャワーをレンタルする必要があります。
そういった費用も含めると、やはりユニットバスよりも割高になると言えます。
ユニットバスに比べて防水性に劣る
ユニットバスは、浴室に最も適した造りになっているため、基本的には防水性に優れており水漏れなどが発生する可能性が極めて低いです。
しかし、在来工法はその建物ごとで造りが違う上に、素材によっては隙間が発生することも多いため、水漏れのリスクが高まります。
同様に、ユニットバスは熱を逃がさない造りになっていますが、在来工法は隙間ができることで外気に触れやすくなります。
また、タイルなどを利用する場合はタイル自体が冷たいため、結果的にバスルーム全体の熱気が奪われやすいです。
防水性や断熱性を重視するのであれば、ユニットバスの方がおすすめです。
ユニットバスの特徴とメリット
ユニットバスとは、予め形作られたバスルームを自宅で組み立てて設置する浴室のことになります。
バスタブや天井、床、壁などがあらかじめ形成されており、それを組み立てることで簡単に出来上がります。
例えば、ビジネスホテルやアパートなどで、浴槽やトイレ、洗面台が一室に入ったものをユニットバスと呼ぶことがあります。
しかし、トイレと浴槽がセットのものがユニットバスというわけではなく、予め作られた部品を組み立ててつくられたもののことをユニットバスと呼ぶのです。
実際に、浴室のみのものは1点ユニットバス、トイレと浴槽、洗面台が一緒になっているものは3点ユニットバスなどと呼ばれます。
ユニットバスのメリットとして、
- 誰にでも使いやすい
- メンテナンスが楽
- 工期が短く工事費が安い
といったものが挙げられます。
誰にでも使いやすい
もちろん在来工法でも、家族に合わせて使いやすい造りを取り入れることは可能です。
しかし、ユニットバスは予め誰もが使いやすいような造りに設計されていることが多いため、そのバスルームを安く手に入れられます。
具体的には、
- 床が滑りにくい
- 浴槽が高すぎない
- 脱衣所と浴室の段差がない
など、小さな子供から足腰の不自由な高齢者までが安心して利用できる造りになっているため、どんなご家庭でも安心して取り入れられるでしょう。
メンテナンスが楽
ユニットバスでは、全ての部品がバスルームのために設計されているため、日々の掃除やお手入れが非常に楽です。
在来工法の場合は、例えばタイルの間にカビが発生したり、ヒノキなどの浴槽はきちんと管理しなければすぐにダメになってしまったりします。
もちろんそれを分かったうえで在来工法を利用するという方もいると思いますが、実際に毎日時間をかけてお手入れをするのは骨が折れます。
その点ユニットバスは、カビが生えにくく水はけもよく、また汚れもすぐに落ちるような設計になっているため、日々のお手入れの手間が省けます。
工期が短く工事費が安い
在来工法のデメリットにも書きましたが、1からすべてを造るバスルームは工期が長くなりますし、その分費用も高くなります。
しかしユニットバスは予め決まっている部品を自宅に運んで組み立てるだけですので、思っているよりもすぐに工事が完了してしまいます。
もちろん商品やグレードによって価格は変わってきますが、一般的には在来工法と比べると安く仕上げることができるはずです。
ユニットバスのデメリット
一方でユニットバスのデメリットとしては、
- デザインが限られている
- 後から変更ができないことが多い
- 設置スペースが限定される
といったものが挙げられます。
デザインが限られている
ユニットバスが普及するにつれて、利用できる素材の種類が増え、カラーバリエーションも豊富になってきました。
しかし、あらゆる素材や色の中から選ぶことのできる在来工法と比べると、デザインが限定されるというデメリットがあります。
実際に、ユニットバスのメーカーが取り扱っているものの中からしか選ぶことができないため、オリジナルのバスルームにするのは難しいです。
後から変更ができないことが多い
ユニットバスを設置する際には、様々なオプションを選択することによって理想のバスルームに近づけていくことが可能です。
しかし、一旦設置してしまったユニットバスに追加で何かを加えたいとなった場合、それができないこともあります。
もちろんできないことはないのですが、ちょっとした部品を取り付けるために天井や壁全体を解体しなければならないといった大掛かりな工事になることも多いです。
ユニットバスを利用する場合は予めどのようなものにするのかを明確にしてから工事を依頼しましょう。
設置スペースが限定される
どこのご家庭でも、バスルームの大きさはおおよそ似たようなものになります。
しかし、ご家庭によってはバスルームに利用できるスペースが極端に狭かったり、逆に広かったりすることもあります。
ユニットバスはすでに決められた大きさのバスルームを自宅に持ってくることになるため、基本的にはサイズが決められています。
もちろん複数のサイズがありますが、ご自宅の設置スペースに合うサイズが少ない場合は、その中から選ばなければなりません。
規格サイズに全く合わないような場合は、サイズをオーダーできるメーカーなどに問い合わせてみることをおすすめいたします。
しかし、この場合は一般的なユニットバスと比べると費用が高くなってしまいます。
ハーフユニットバスとは?主な特徴
一般的には、在来工法とユニットバスのどちらかの工法でバスルームを造るご家庭が多いですが、実はその中間に位置するハーフユニットバスというものも存在します。
簡単に言えば
- 床から壁の下の部分までが一体化したユニットバス
- 天井や窓も含めた壁の上部が在来工法
といった造りになっています。
ハーフユニットバスのメリット
ハーフユニットバスのメリットとしては、
- ユニットバスの防水性を誇る
- 窓や天井にオリジナリティを出すことができる
という点が挙げられます。
下半分はユニットバスと同じ作りになっているということもあり、ユニットバスの持つ防水性は健在なため、水漏れなどが起こりにくいです。
また、上半分は自由に設計することができるため、例えば窓を増やしたければ増やすこともできますし、天井をオシャレに装飾することも可能です。
ハーフユニットバスのデメリット
一方でハーフユニットバスのデメリットとしては、
- ユニットバスよりも割高
- 商品数が少ない
といった点が挙げられます。
やはり自由度が増す分、ユニットバスよりも高くなりますが、完全オリジナルの在来工法と比べると安く設置することが可能です。
ただし、コストが上がり工期が延びるにもかかわらず、在来工法ほどの自由度がないという中途半端な浴室になる可能性もあります。
また、ハーフユニットバスとして商品化されているものが非常に少ないです。
そのため、こだわりのバスルームにしたいという方にとっては、ユニットバスよりも選択肢が少ない感じがするかもしれません。
在来工法からユニットバスへのリフォーム費用の相場
バスルームのリフォームには様々なものがありますが、大きく
- 在来工法から在来工法へのリフォーム
- 在来工法からユニットバスへのリフォーム
- ユニットバスからユニットバスへのリフォーム
- ユニットバスから在来工法へのリフォーム
の4つに分けられます。
このうちの在来工法でリフォームをする場合は、こだわり次第で数百万円するような工事になることもあります。
一般的にはユニットバスへのリフォームをするご家庭が多いため、今回はユニットバスへのリフォームについて見ていきましょう。
ユニットバスの商品価格
例えば、キッチンをリフォームする際にシステムキッチンがセットで販売されているように、お風呂もセットで販売されています。
ユニットバスの場合は浴室全体がワンセットとして商品化されていますが、そのグレードや機能などによって価格帯が異なります。
ここでは、3つの価格帯に絞って紹介させていただきます。
ユニットバスのグレード | 商品価格 |
経済的なユニットバス | 25万円~35万円 |
スタンダードのユニットバス | 35万円~60万円 |
高機能なユニットバス | 60万円~90万円 |
大体このように分類することができます。
それでは、それぞれのグレードでどのような違いがあるのでしょうか。
経済的なユニットバス
お風呂として最低限の機能を果たす、最も安いタイプのユニットバスです。
最低限の機能というのは、バスタブと水栓などのシャワーが取り付けられているだけで、中には鏡やシャンプーなどを置くカウンターがないものも存在します。
もちろん鏡程度であれば、後からご自身で購入して設置することも可能ですが、少々物足りないと感じる方が多いはずです。
ユニットバスにしたいが、できる限り安く済ませたいというご家庭におすすめです。
スタンダードのユニットバス
バスタブにシャワーはもちろん、鏡やカウンター、簡単な収納などが設置された、ベーシックスタイルのお風呂になります。
安いタイプと比べると、床材も滑りにくく、また水が溜まらず乾きやすい素材が利用されることも多いです。
一般的なご家庭であれば、このスタンダードなユニットバスを取り入れることになります。
高機能なユニットバス
上記のスタンダードなユニットバスに加えて、例えば浴室換気暖房乾燥機をはじめとする様々な機能を持たせたバスルームです。
壁材や床材、バスタブの質にこだわりたいという方や、よりオシャレなバスルームでゆったりしたいという方におすすめです。
50万円~90万円という価格設定で記載しましたが、オプションなどを付けるとさらに高くなることも多いです。
ユニットバスを設置する工事代金
上述したのはユニットバスそのものの商品価格になり、これとは別にご自宅に設置をするための工事費用が必要になってきます。
ユニットバスの導入は、まずは既存の在来工法のバスルームを解体し、そこに土台の工事や仮設工事を施した上で取り付けることになります。
様々な工程がありますが、
- 解体工事
- 仮設工事
- 配管工事
- 内装工事
- 電気工事
- 設備工事
などなど、既存バスルームの取り外しから新しいユニットバスの完成までで複数の工事が必要になってきます。
もちろん既存の在来工法のバスルームによって変わってきますが、一般的には設置完了までで40万円~50万円ほどかかります。
要するに、在来工法からユニットバスへのリフォームは、合計で60万円~130万円ほどは掛かると覚えておくといいでしょう。
まとめ:在来工法とユニットバスどちらにもメリットはある!
ご自宅の他の場所とは異なり、バスルームだけはこだわって造りたいと考える方も少なくありません。
お風呂が大好きだという方も多いですし、バスタブに使ってゆっくりするのが趣味だという方もいらっしゃいます。
もちろん人によってお風呂に対する考え方は異なりますし、お風呂の好みも違います。
しかし、やはり1日の疲れを取り除く場所という意味では、ご自宅の中でも重要な存在と言えるはずです。
リフォームを機に在来工法をユニットバスに変えるご家庭は多いですが、もちろん在来工法にも良さがあります。
ご家族で話し合い予算も確認しながら、どんなバスルームを造るのがベストかを考えてみましょう。