きれいなタイル壁のキッチンや洗面所は、美しく汚れにくいため人気です。
タイル貼りは特別な道具を必要としないし、材料も手に入りやすく、DIYでは比較的簡単な作業。
しかし、タイルを接着剤で本格的に壁に貼ってしまうと、リフォームが難しい事があります。
賃貸物件も直にタイル貼ると、退去の際の原状回復が大変かもしれません。
そのためこの記事では、賃貸でも可能な元に戻せるタイル貼りの方法や、DIYでタイルを貼る際のメリット・デメリットや選ぶポイントなどを紹介していきます。
実際に行う際の手順なども解説するので、初めてDIYでタイルを貼るという方の参考にもなれば幸いです。
目次
DIYで壁に貼るタイルの種類は?選び方のポイント
タイルには用途説明があるので、それを読んで選ぶことがとても大切です。
ただ、タイルは種類が膨大にあるので、そもそもどれを選んだらいいか迷ってしまいますよね。
そこでまずはDIYで室内壁にタイルを貼る時どんな商品を選べばいいか、そのポイントを3つ紹介します。
そのポイントがこちらです。
- 場所に適したタイルを選ぶ
- 屋内壁と書いてあるタイル
- 必ず現物を見てから選ぶ
場所に適したタイルを選ぶ
タイルを選ぶ場合、デザインも大切ですが、場所に適したタイルを選ぶことがとても重要。
まず最初に自分がタイルを貼りたい場所がどこか、台所なのか、リビングなのか、それともバスルームなのかという事を決定します。
タイルの説明書きには「浴室壁」「屋内壁」など用途が必ず書いてあります。それを確認して購入しましょう。
色や形や質感は、タイルの種類は膨大にあるのでイメージに近いものが必ずあるはずです。
タイルに使用場所の説明書きが無い場合は、お店の人に用途を伝え、購入しようとしているタイルが適しているか質問するのがおすすです。
どんなタイプのタイルがあるのかを確認する
タイルは「屋内用」「屋外用」の表示がありますが、室内に使うタイルは「屋内壁用」「室内壁用」などと書いてあるタイルの中から検討します。
その中でも、磁器タイル、特に釉薬がかかったタイプ磁器タイルだと表面がツルツルで汚れが付きにくいのでお掃除が楽です。
キッチンやサニタリーで使用するタイプで人気があるのは、1篇の長さが5㎝以下の小さい「モザイクタイル」。
タイルが一つ一つバラバラになっている状態の商品もありますが、最初からタイルが列になって並んでいるシート状の方が断然簡単に貼れます。
シート状タイルは「裏ネット張り」と「表紙張り」の2種類。
この2つの違いは、
- タイルの裏面をネットに貼って列を整えてあるか
- タイルの表に紙を張り付けて列を整えてあるのか
の違いです。
並び方や接着剤のはみだしなどが確認できる点では「裏ネット張り」の方が初心者向けと言われています。
モザイクタイル以外では、ガラスでできたガラスタイルもキラキラして高級感と機能を兼ね備えており、人気です。
ただし「裏ネット張り」タイプのタイルは、貼る際に裏のネットが伸びてしまうと列がヨレるときれいに並べるのが難しくなります。
そうならないように注意しましょう。
必ず現物を見てから選ぶ
タイルを購入する場合は、必ず現物を見てから選ぶことが大切。
大きいホームセンターのタイルのコーナーは直接見て選べますが、通販では写真と色合いが違うこともあるからです。
多くのネットショップでは、無料または有料の「サンプル請求」が可能なので、使いたいタイルを取り寄せるのが良いでしょう。
無料でサンプル請求ができるネットショップをいくつかご紹介します。
サンワカンパニー
タイルだけではなくフローリングやロートアイアンなど内装材量を広く扱う会社で、インポートでセンス良く高級感に溢れる素材が多いです。
ネットで5点までは無料でサンプル請求できます。
公式:https://www.sanwacompany.co.jp/shop/
タイルスタイル
インポートタイルをたくさん取り扱っている、センスの光るタイルショップです。
10点まで無料でサンプル請求ができます。
公式:https://www.tile-style.net/
Resta
タイルだけでなく、初心者向けタイル貼り道具セットもあるネットショップ。
分かりやすい施工動画も豊富で、参考になります。
5点まで無償サンプル請求が可能です。
公式:https://www.diy-shop.jp/second/tile.html
DIYで壁にタイルを貼る4つのメリット
昔から内装素材として使われてきたタイルですが、選び方がわかったら、そもそも壁にタイルを貼るメリットやデメリットを知っておくことも大切です。
高級感やデザイン性の高さが人気ですが、壁にタイルを貼るメリットはそれ以外にもたくさんあります。
それがこの4つです。
- 費用を抑えることができる
- 壁が汚れにくくなる
- デザイン性が高い
- 維持管理がラク
- 耐火・耐熱性がある
費用を抑えることができる
業者の方に頼んだ場合、タイル張りは原材料費だけではなく、当然施工費がかかってきます。
貼る場所や業者にもよりますが、1平米当たり材料費に加えて1万円ほどの施工費を考えておいた方がいいでしょう。
例えば5平米のキッチンだと施工費だけで5万円。出費としてはちょっと痛い額ですよね。
自分でタイルを貼れば、この施工費分を削ることができます。
壁が汚れにくくなる
壁紙の場合、油汚れなどで汚れると、ひどい場合は専門業者がクリーニングしてもシミが取れなくなったりもします。
また、洗面所などで湿度が高い場合、傷んだりカビが生える事も。
しかし、タイルは水が染み込みにくく汚れが付きにくい素材なので、壁紙と比較するとお手入れが断然簡単です。
汚れは拭くだけで簡単に落ちますし、カビが生えません。
デザイン性が高い
キッチンやバスルームに貼る素材として他に「パネル」というコスパが高い一枚張りの板のような商品が使われることが多いです。
ただ、パネルは水や汚れには強いものの、デザインや柄のバリエーションはタイルに比べてどうしても劣ります。
タイルには膨大な種類の色や形や大きさ、質感のバリエーションがあるので、好みのデザインを追求できる楽しさがあります。
維持管理がラク
キッチンを表面がツルツルしたタイプのタイルにすると、拭き掃除だけ汚れが落ちるので、日々のお手入れが非常に楽です。
壁紙だと経年で劣化したり黄ばみが生じたりしますが、タイルは湿気や熱に強く、汚れもつきにくく、10年20年が経過しても美しい状態が保たれます。
耐火・耐熱性がある
タイルは壁紙に比べて耐火性・耐熱性に優れており、壁紙のように焦げたり溶けたりするような心配はまずありません。
キッチンカウンターをタイルにすれば、厚い鍋を置いても跡がつくことがなく非常に便利です。
DIYでタイルを壁に貼るデメリット
タイルはデザイン性や耐久性・ランニングコストを考えると長所が多い素材です。
しかし、費用や施工の面で若干デメリットもあるのも事実です。
そのデメリットがこちらの3つです。
- 施工に手間や掛かりコスパは良くない
- 賃貸物件には原状回復が求められる
- タイルそのものは汚れにくいが、目地汚れは厄介
とは言え、タイルの貼り方や目地材の選び方で克服できるものばかりですけどね。
施工に手間や掛かりコスパは良くない
タイルを張るには、既に平滑な下地の上であっても
- 接着剤の塗布
- タイル貼り
- 目地埋め(張り方によっては必要ない)
この、3工程が必要になります。(「目地埋め」は貼り方によってはする必要はありません)
施工は簡単とは言え、壁紙張りと比べれば手間がかかるDIYなので、初心者の方は慣れるまで時間がかかるでしょう。
また、タイルをDIYで貼る場合、一平米当たりの材料費は、¥5000~位が目安。
壁紙だと職人さんの施工費込みで1平米¥1200~、安いと¥1000くらいです。
そのため、いくらDIYでやると行ってもコスト的にはクロスなどの壁紙を貼るよりはコスパは良くありません。
賃貸物件には原状回復が求められる
DIY賃貸では例外ですが、建物賃貸借契約では原状回復義務があり、部屋を借りた人は部屋を元に戻して返さなければなりません。
この「原状復帰」には、下の項目のような「通常の使用の範囲でついた」と考えられるものは含まれません。
- クロスの経年劣化による変色や汚れ
- 壁の極小さな画びょう穴
- フローリングのワックス落ちなど
ですが、借りている人の「故意や過失」によりできた傷の修繕は入居者負担となり、敷金から引かれるのが一般的。
タバコによるヤニ汚れや、ペットの爪とぎが原因の柱の破損などがそうです。
DIYでも小さい画びょう穴であれば「原状復帰」を求められることはまずありません。
しかし釘穴などの目立つ傷であれば修繕費用を求められる可能性は高いでしょう。
場合によっては敷金を上回る修繕費用になるかもしれません。
賃貸物件のDIYを行う時には、原状回復義務がある事もよく頭に入れて、原状回復できる範囲で楽しむのがトラブルを避けるコツです。
原状回復については、国土交通省によるガイドラインも出ていますので、気になる方は読んでみて下さいね。
→国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
タイルそのものは汚れにくいが、目地汚れは厄介
タイル自体はツルツルなので汚れが付きにくいのですが、境目の目地部分は表面がザラザラなので汚れが落ちにくい傾向があります。
目地汚れを防ぐためには、目地の面積が少なくなる大き目のタイルを使う。
またはタイルを隙間なくぎっちりつめて、目地を使わないのも良いですね。
DIYでタイルを貼るのに必要な材料と手順
DIYでタイルを貼るメリットとデメリットを紹介してきました。
タイル貼りは他のDIY作業のように特別な道具を使用しないので、初心者にも敷居が低いDIYです。
ここでは、実際にタイルを貼るのに必要な材料と、作業の手順を説明します。
DIYでタイルを貼る際に必要は材料、道具、服装をまとめた表がこちらです。
タイルを貼る際に必要な材料、道具、服装 | |
---|---|
材料 | ・タイル ・タイル用接着剤 ・目地材(目地埋めを行う場合のみ) |
道具 | ・計測用メジャー ・印つけのための筆記用具 ・養生用マスキングテープ ・くし目ゴテ ・タイルカッター(タイルを切る時に使う) ・目地埋めようのコテ(目地埋めを行う場合のみ) ・スポンジ(目地埋めを行う場合のみ。目地ふき取りに使う |
服装 | ・捨ててもいい服 ・作業用グローブ ・マスク ・保護ゴーグル(薬剤などが目に入ると危険です) |
作業の手順は以下の6ステップを意識して行いましょう。
①施工面の確認・掃除
まずは、タイルを貼る施工面の状態を確認。
壁にデコボコがある場合は補修し、平滑にしておきます。
タイルを張る部分の汚れや油分はふき取り、乾燥させます。
壁紙の上からタイルを張る場合は、壁紙にガムテープを張り、ガムテープをはがした時に壁紙まで一緒に剥がれてこないか確認しましょう。
壁紙も一緒に剥がれてくるようであれば、タイル施工後に下地の壁紙も一緒に落下する可能性があるため、壁紙をはがしてから施工するのがおすすめです。
②タイルを張る場所を計測して印をつける。
間違えて斜めに張ったりするのを避けるため、壁をメジャーで計測し、印をつけておきます。
また、同時にタイルの並べ方や枚数を確認しましょう。
施工面に対しタイルの大きさが合わない場合はタイルカッターでタイルを切断して大きさを合わせます。
③現場を養生する
背着剤や目地材で周囲を汚さないように、際をマスキングシートで養生します。
床も汚れないように養生シートをかぶせておきましょう。
④壁への接着剤の塗布
壁に接着剤を塗布し、くし目ゴテを使用して壁に接着剤が均等になるように伸ばします。
櫛目ゴテを使うと接着剤と接着剤の間に隙間ができますが、この隙間から水分や溶剤を逃しています。
ですので普通のコテではなく、櫛目ゴテを使うようにしてください。
⑤タイルを貼る
接着剤の上にタイルを貼っていきます。
十分にタイルを圧着しないと後で剥がれてくるので、拳でタイルを叩いて壁に押し付けます。
より確実に圧着させたい場合は、タイルが割れないように木の板などで押さえてから上からハンマーなどで叩くと良いでしょう。
はみ出た接着剤は丁寧にふき取って下さい。
⑥目地埋めして完成!
目地を埋める場合、剥がれを防ぐために1日たって接着剤の乾燥を確認した後に作業します。
目地材をタイルの隙間にコテでムラの無いように埋め込みます。
端部分などは難しいですが、コテの縁を使って押し込んでいきます。
埋め終わったら、完全に乾く前にスポンジで余計な目地材をふき取ります。
以上が基本的なDIYでタイルを貼る手順や注意点です。
実際に筆者がタイルを貼ってみた時の感想
実際に私もDIYでタイルを貼ることがあるのですが、その時の体験から感じたことをちょっと。
はじめてのタイル張りはタイル張り未経験の友達と2人でやりました。
ランダムな大きさの少し変わったタイルを使ったのですが、一つ一つ配置を考えながら貼るので、1平米貼るのに半日以上かかりました。
最初からタイルが並んでいる裏ネット張りタイプのタイルだったら、半分以下の時間と労力で済んだと思います。
とはいえ、部屋を訪ねてきて下さった方たちにはとても好評でした。
材料と道具があれば簡単に張れて、しかも見栄えがいいので、貼って本当に良かったです。
自分でタイルを貼った時にポイントだと感じたことは、目地を埋める前に接着剤をしっかりと乾かすことだと思います。
このポイントを意識しないと、せっかくきれいに貼ったタイルが後で剥がれ、残念なことになります。
また、貼った後にタイルをきちんと圧着させるのも重要です。
加えて、作業をする時には、ゴム手袋や保護ゴーグルは絶対につけることをおすすめします。
目に目地材などが飛んで、角膜につくとアルカリ性で角膜が溶けることがあるみたいです。
また、ゴム手袋をしないで目地材も直に触ると皮膚がボロボロなり、ひどい場合は出血します。
接着剤や目地材は乾くと洗濯しても全く取れないので、作業着は靴も含めて捨てる覚悟で選んだ方が良いです。
賃貸でもタイルを楽しみたい場合の注意点
今はDIYをやる方も増えてきてタイル貼りも人気ですが、賃貸の場合は先程も紹介しましたが、原状回復が基本的に必要です。
そうなると、「タイルを貼りたいけど賃貸だから貼ることができない」と諦めてしまう方も多いです。
ただ、工夫をすれば賃貸でもタイルを貼ることは可能ですので、最後に賃貸でタイルを貼る場合の注意点やポイントを2つ紹介します。
ベニヤ板を使った原状復帰可能なタイル貼り
賃貸物件でどうしてもタイル貼りがしたい場合は、壁に直接貼るのではなく、壁に1度ベニヤ板を止めて、その上からタイルを施工しましょう。
ホームセンターなどでベニヤ板を購入し、壁のサイズに合わせて両面テープやタッカー(木工用のホチキスのような道具)で壁に貼り付けます。
薄いベニヤ板はカッターで切断が可能なので、コンセント部分の切り抜きもこれで行います。
そしてベニヤ板の上からタイル施工を行えば、退去時にタイルをベニヤ板ごとはがして原状回復できるので、賃貸でもタイル貼りを楽しむことが可能です。
ただ、注意点としては、タッカー痕があまり大きかったり、両面テープで壁紙を破損したり汚してしまうと原状回復のための修繕費がかかる場合があります。
「少し原状回復費用を払うことになるかもしれないけど、好きなデザインの部屋に住めるならいいかな」くらいの気持ちで施工するのが良いかもしれません。
タイルよりも施工と原状回復が簡単な商品もある
「タイルの施工は面倒だけど、タイル風プチリメイクがしたい」と言う方には
- タイルシート
- バックスプラッシュ
と呼ばれている商品がおすすめで、楽天やAmazonのネットショップで気軽に購入することができます。
商品名「タイルバックスプラッシュ、キッチン用PVCロックバックスプラッシュストーンタイルを剥がして貼り付ける」
例えば、こちらのバックスプラッシュは裏がシール状になっていて、壁紙をはがした上からでも、壁紙の上からでも直接貼ることができます。
経年で裏の接着剤が劣化して壁紙に張り付くことも予想できますが、壁紙の上から貼った場合、原状回復は壁紙を張りなおせば済みます。
私もキッチンの壁にこの商品を施工したことがありますが、施工が簡単な割に非常に見栄えも良く、今でも満足している商品の一つです。
張る時の注意点としては、壁紙が劣化している場合はタイル同様に、剥がれが考えられるので、ガムテープで壁紙の状態を確認してください。
また、タイル同様に張った後は良く叩いて壁に圧着させないと、後で剥がれてきます。
まとめ
室内壁の施工には壁紙やパネルなども含めて様々な選択肢がありますが、タイルは高級感とデザイン性の高さがトップクラス。
誰でも一度はあこがれる内装材なのではないかと思います。
材料費が若干高くついたりもしますが、ランニングコストの低さを考えると「10年20年きれいに使用できるなら…」とタイルを選ぶ人が多いです。
施工自体は簡単なので、理想の部屋を求めてタイルを探してみてください!