家具の色や壁の色を自分の好きな色に変え、お部屋の雰囲気をガラッと変えられるペインティング(塗装)。
特別な道具を必要としないので、初心者でもチャレンジしやすい人気のDIYです。
「でもホームセンターにはたくさんの塗料があり、どの塗料を選べば良いのかわからない」
という方も多いのではないでしょうか?
そんな方のために、この記事ではDIYをやるなら知っておきたい塗料の種類や選び方についてわかりやすく解説しますね。
初めてペインティングする方や塗料選びに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
塗料には大きく分けて水性塗料と油性塗料がある
昔はシンナーなどの溶剤で薄めて使う油性塗料が主流で、家庭用のDIYには敷居が高い状況でした。
しかし、現在は塗料の開発が進み、水で薄めて使える水性塗料の種類が簡単に手に入るようになりました。
また、以前は水性塗料は油性と比べ密着力や耐久性が低いイメージでしたが、これも近年改善され、機能の遜色が無くなりつつあります。
それぞれの特徴がこちらです。
扱いやすさなら水性塗料
水性塗料は水と樹脂と顔料が主成分の水で薄めて使うタイプの塗料です。
油性と比べてにおいが少なく、乾燥時間も短めで済みます。
刷毛(はけ)などの道具の後片付けは水洗いで済むので、初心者でも使いやすいです。
乾いて塗膜が形成されれば水をしっかりとはじいて丈夫になるので浴室壁用の水性塗料もあります。
屋内壁や室内用家具の塗装には水性塗料を選んでおけば問題ないでしょう。
耐久性を求めるなら油性塗料
油性塗料は溶剤と樹脂と顔料を成分とする塗料です。
乾燥の際は水ではなく有機溶剤が揮発するので水性塗料と比べると刺激臭が強いです。
タイプは主に
- 「ペイントうすめ液」を使って薄めるタイプの塗料
- 「ラッカーうすめ液」を使って薄める塗料
の2タイプがあります。
薄める溶剤を間違えてしまうと塗料の分離や凝固の原因になってしまうので気を付けましょう。
油性塗料は塗料を薄める時だけでなく、施工後の後片付けの際も各種「うすめ液」を使う必要があるので、初心者には敷居が少し高くなります。
しかし、水性塗料と比べると密着力が強く耐久性が高いので、屋外にある塀やウッドデッキ、金属やコンクリートの塗り替えは、油性塗料の方が適している場合が多いです。
油性塗料には引火性があるので使用する際は火気に注意してください。塗料からの揮発もあるので、屋内での作業中は部屋の換気をしっかり行うことが大事です。
水性塗料も油性塗料ほどではないですが、屋内で作業する場合は部屋の換気が必要です。
水性でも油性でも塗料を購入する際は用途を意識しよう
DIY目的でペンキを購入する時は、自分が一体何を塗りたいのか良く考えてから購入するようにしましょう。
塗料は水性と油性に分かれますが、そこから更に屋内用と屋外用に分かれ、木部用、室内壁用、風呂壁用、屋外木部用、金属用、ガラス用…など用途が細かく分かれているためです。
ペンキの用途は塗料のラベルに必ず書かれています。それを読めば用途に合った塗料を選ぶことができます。
しかし、不安な場合は売り場で相談すれば店員さんが教えてくれるので、よく確認してから塗料を購入して下さいね。
最近では技術の発達で消臭効果や抗菌効果、防カビ効果など様々な機能を持ったペンキも増えてきています。
木部に使用するのにおすすめの塗料は「ステインとニス」
「木製家具をイメージチェンジしたいけど、ペンキだと木目が塗りつぶされて好みじゃない…」という方にお勧めしたいのが“ステイン”です。
ステインは木の内部に染み込む塗料で、木目を生かしたナチュラルな仕上がりが期待できます。色も幅広くあるので、ヴィンテージ風にしたり、フレッシュな雰囲気にしたり、多様な好みに対応できます。
ペンキのように塗膜を形成しないので、ステインを塗った後に水や汚れから表面を保護したい場合は、塗膜を形成するために“ニス”を併用します。
初心者でも扱いやすい“ステイン”
ステインには
- 水で希釈する水性ステイン
- うすめ液で希釈する油性ステイン
があります。
水性の方が手軽ですが、油性の方が木に染み込みやすく、色持ちも良いです。
油性ステインには屋外のウッドデッキや木柵などの塗装を目的とした、表面を保護する機能がある商品もありますね。
カラーバリエーションも豊富で茶色やグレー、ブラック、白など多様で、好みの色を選択できます。
ただし、ステインは木材に塗る事が想定されているためブラウン系の配色が中心で、紫やピンクのステインは店で見たことがありません。
下処理として木材の汚れや油分をふき取り、サンドペーパーで表面を滑らかにしておきます。
下処理をきちんとすれば、ステイン塗りはペンキ塗りに比べ、比較的初心者にも簡単です。
ペンキ塗りはムラになったり刷毛跡がついたりすることがありますが、ステインは塗膜を形成せずにそのまま木材に染み込んでいくので布に染み込ませるなどしてゴシゴシと木材に塗りつけるも可能です。
乾燥後は塗膜が形成されないため、色落ちする場合があります。表面を保護したい場合には、ステインの後にニスを塗ると良いでしょう。
勿論ニスを塗らずにステインだけで自然な雰囲気に仕上げることもできます。ニス入りのステインも販売されています。
ツヤを出し、表面を保護する“ニス”
ニスは溶剤に塗膜形成のための樹脂を溶かした透明な塗料です。
木部の表面に塗膜を形成し、汚れやシミから保護する役割を果たします。
形成される塗膜が透明なので、木材に塗ると色や木目がそのまま透けて見えるのが特徴的です。
塗膜が丈夫なニスは木製の食器の表面保護に使用されることもあります。
ニスにも水性と油性があり、油性ニスは更に“ペイントうすめ液”で薄めるタイプと、“ラッカーうすめ液”で薄めるタイプに分かれます。
施工時はステインと同様に、木材の汚れや油分をふき取り、サンドペーパーで下地処理した後ハケで塗るのが基本です。
ニスは表面に樹脂塗膜が形成されるので、エナメル質のツヤツヤした質感になります。
このツヤのせいで木工製品の風合いが損なわれることが心配なのであれば、ツヤ消しタイプのニスを使うとより自然な仕上がりが期待できます。
ニスも初めから色の付いたタイプが販売されています。
しかし塗りムラを防ぎたい場合は、ステインで塗ってから透明ニスを使った方が無難でしょう。
ニス入りだと乾いた部分から塗膜がどんどん形成されていくので、ムラになりやすいです。
漆喰や珪藻土などの自然系塗料について
自然素材の漆喰や珪藻土は消臭効果や調湿効果もあり、マイホーム記事でも人気の憧れの素材ですが、自分で施工することも可能です。
施工は基本コテですが、現在はローラーで施工できる、初心者でも施工簡単なものが増えました。ただし、ローラーで施工できるタイプの商品は、そうでない商品と比べるとコストが高くなっています。
アルカリ性の場合が多いので、目に入らないように注意しましょう。
防カビ効果や消臭効果がある“漆喰”
漆喰は消石灰を主成分としている壁材で、つなぎのために海藻のりなどが混ぜられています。
壁材の機能としては、断熱効果や消臭効果、部屋の調湿機能、アルカリ性の原料なので、防カビ効果も期待できます。
漆喰はペンキと違い、コテを使って仕上げます。平滑に仕上げるにはスキルが必要ですが、少し凸凹になっても、それが逆に味わい深い印象になったりするのでチャレンジする価値は有ります。
平面なら初心者でも比較的簡単に塗れますよ。
最近はローラーで施工可能でビニール壁紙の上からであれば直接濡れる漆喰塗料も出ているので、昔に比べると敷居がだいぶ下がっているように感じます。
漆喰の仕上がり質感は、少しツヤがある固い風合いになり、ツルツルした卵の殻を思い浮かべて頂けるとわかりやすいかもしれません。
昔は漆喰と言うと白がメインでしたが、現在はピンクや紫など様々な色があります。
コストですが、同じ面積を塗った時、漆喰の方がペンキに比べると材料費は高くつきます。
注意しなければならないのは、漆喰はアルカリ性で、目に入ると角膜を損傷して大惨事になる場合があります。
作業中はゴーグルを使用するなどの防御対策が必要です。
また、壁などは初心者でも簡単ですが、天井を塗るのは避けた方が無難です。
天井に漆喰を塗ると、その重量で垂れて落ちてくるのでプロでも大変な作業で、落ちた漆喰が目に入ると非常に危険ですので。
ナチュラルな質感と調湿機能を併せ持つ“珪藻土”
珪藻土の原料は主に、ガラス質の殻を持つ「珪藻」と言うプランクトンが蓄積したものです。
顕微鏡で見ると細かい穴が無数に開いており、この穴のために調湿性や防臭性に大変優れています。
ピンクやブルー、紫などカラーバリエーションが多いです。
珪藻土も漆喰同様にコテで塗ります。
平滑にコテ跡が全くないように仕上げるのは大変ですが、模様が出来てしまってもそれが「味」になるので、ご興味があればぜひチャレンジしてみてください。
珪藻土も漆喰同様に今は扱いやすい商品が開発され、条件が合えばビニール壁紙や繊維壁の上から直接施工することも可能です。
質感としては、漆喰だと粒子が細かいツルっとした仕上がりになるのと比較し、珪藻土は粒子が大きいためツヤが無くザラザラした仕上がりになります。
コストですが、漆喰と同様、ペンキ系と比較すると面積当たりのリフォームコストは高くなります。
施工の際は目に入らないように注意してください。珪藻土自体のペーハーは中性ですが、防カビ性や固化性を高めるために漆喰と混ぜている商品もあります。
この場合はアルカリ性となり、目に入ると角膜などを傷つける恐れがあるので、塗る際はゴーグルなどを使用して必ず目をガードすることが大切です。
まとめ
ペイント材料と言うとペンキが真っ先に思い浮かびますが、ペンキ以外にも様々な材料が存在します。
屋内で使う家具を塗るのか、それとも屋外のウッドデッキを塗るのか…塗装する物の材質に合わせて、予算と目的にあった塗料を探してみましょう。
ぴったりの素材が見つかった時の喜びは格別です。